きさらぎ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kisaragi

■1■1800m以上のスタミナと持続力
ひとつだけラップ構成から垣間見えるレースの特徴がある。勝ち馬や全体のタイムはほとんど関係ないので、過去10年のラップと前後半4ハロンのタイムだけを時系列に並べてみたい(一番下が2011年度のラップ)。

12.5-11.0-11.5-12.4-12.4-12.2-11.9-11.9-11.8(47.4-47.8) 平均ラップ
12.8-11.4-12.0-12.6-12.9-12.4-11.8-11.8-11.9(48.8-47.9) 平均ラップ
12.9-11.3-11.5-12.1-12.5-12.5-11.8-11.7-11.7(47.8-47.7) 平均ラップ
12.9-11.8-11.9-12.5-12.4-12.0-11.6-11.4-12.0(49.1-47.0) 後傾ラップ
12.8-11.0-11.5-12.2-12.5-12.5-11.9-11.3-11.7(47.5-47.4) 平均ラップ
12.8-11.3-12.3-12.9-12.4-12.1-11.3-11.4-12.3(49.3-47.1) 後傾ラップ
12.8-11.0-12.3-12.5-12.2-12.1-12.1-11.8-12.0(48.6-48.0) 平均ラップ
13.0-11.5-11.9-12.7-12.6-12.2-11.8-11.1-12.1(49.1-47.2) 後傾ラップ
12.8-11.1-11.4-12.3-12.8-12.4-12.0-11.7-12.1(47.6-48.2) 平均ラップ
12.4-11.3-11.6-12.4-12.5-12.0-11.3-11.8-12.3(47.7-47.4) 平均ラップ

前後半のラップの差が1秒以上ない場合を平均ラップとして考えると、過去10年中で僅か3レースのみが後傾ラップとなる。それ以外の年のレースは平均ラップで流れていて、スローペースになりやすい近年の傾向を考えると、中距離としてはかなり珍しい部類のレースに入る。

なぜこのような平均的な流れになるかというと、京都1800m(外回り)というコースの形態に理由がある。京都1800mは、向う正面を延長したポケットの最深部からスタートするため、スタートから最初のコーナーまでの距離がなんと912mという長さになる。この数字を見てピンときた人はさすがだが、つまりレース全体距離の半分が最初の直線に費やされるということだ。

これだけ直線が長いと、どうしても逃げ・先行馬が息を入れずに気分良く行ってしまうため、前半部分が速くなりやすい。しかし、その代わりに後半が遅くなるかというとそうでもなく、3コーナーを回ってからゴールまでは下り一辺倒になるので、後半も同じように速い上がりでの勝負となる。つまり、全体的に淀みのないラップが刻まれ続ける、厳しいレースになるということだ。

よって、このレースを勝ち切るためにまず問われるのは、1800m以上のスタミナである。過去の勝ち馬から菊花賞馬が2頭、ダービー馬が1頭出ていることは、あながち偶然でもないだろう。そして、もうひとつ問われるのは、速いラップを長く刻み続けることの出来る持続力である。マイル戦でスピードを生かす競馬を得意とする馬や、一瞬の差し脚で勝負する馬は狙いを下げた方が賢明である。

■2■前走は500万下組もしくは未勝利戦の素質馬を狙え
過去10年の優勝馬だけではなく、連対馬からもG1ウィナーを輩出しているように、クラシックへ向けての試金石となる一戦。勝ち馬の前走だけを見ると、過去10年でダートG1からが1頭(レインボーペガサス)、G3レースからが2頭(アサクサキングス、リーチザクラウン)、オープンからが1頭(アグネスゴールド)と、それ以外の6頭は全て500万下レースもしくは未勝利戦を勝った後の連勝となっている。つまり、ここに狙いを定めて出走してくる、2歳時に無理をしなかった素質馬を狙うべきということだ。

■3■キャリア3~5戦の馬
過去10年間の勝ち馬のうち、7頭までがキャリア3~5戦のゾーンであった。上述のように「2歳時に無理をしなかった素質馬」という観点からは、キャリアが6戦以上の馬は外れるだろう。かといって、さすがにキャリア1戦の馬では勝ち切るのは厳しい。つまり、キャリアが少なすぎても多すぎても、このレースを勝つための資質という点からは遠ざかっていくということである。

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「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」

G1racekatikata

藤沢和雄調教師に関連した書籍や雑誌は全て読み、「ガラスの競馬場」でも紹介してきたつもりだが、この本だけはなぜかタイミングを逸してしまった。もったいぶっていたわけではなく、G1シリーズが始まってからと思っていたら、それ以外にも書くことが山ほどあって、机の上に積んだままになってしまっていた。お客様が来たら出そうと思って、大事にしまい込んでいたが、いつのまにか忘れてしまった高級なお酒に似ている(私はお酒を飲まないのでこの比喩が正しいかどうか自信はないが)。春まで待っているとまた同じことの繰り返しになるので、今度こそは思い切って紹介してみたい。

「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」は、年間で22ある中央競馬のG1レースそれぞれについて、平均して5つぐらいの重要なポイントを抽出し、藤沢和雄調教師が自ら語るという内容になっている。無理矢理こじつけたようなデータでは決してなく、競馬ファンがG1レースの馬券を買う上で必要だろうと思われる知識をきっちりと説明してくれている。馬券で勝ちたいという下心で読み始めてもいい。いつの間にか、競馬やサラブレッドの奥深さに気づき、それらの本質に手が届くはずである。

全てというわけにはいかないが、せっかくなので、私の心に残っている金言を少しだけ紹介したい。

「牝馬は古馬になると下降線をたどる」

牝馬、牡馬を問わず3歳・古馬の混合戦は、古馬が圧倒的に有利だ。3歳馬は斤量が2キロ、3キロ軽いから…というレベルではない。古馬はタフだし、1年間、競走馬としてやってきたことはすごい強みだ。

しかし、牝馬の中には古馬になって駄目になってしまっている馬も多い。牡馬とぶつかって、もみくちゃになってしまっているからだ。牝馬にとって牡馬の古馬と戦うことは、とてもつらいことだ。牝馬と牡馬では威圧感がまるで違う。

最近は、ウオッカやダイワスカーレット、そしてブエナビスタといった強い牝馬が続々と出現しているため忘れられがちだが、牝馬にとって、牡馬の古馬と戦うことは大変厳しいことなのだ。身体の大きさや骨格も違うし、なんと言っても、精神的な威圧感がまるで違う。牝馬同士のレースだと好走するが、牡馬との混合戦では良いところがない牝馬は、牡馬と一緒のレースで走るときの厳しさに耐えられないことが多い。走る能力うんぬん以前の問題であり、常に威嚇されることで、レースに集中できなくなってしまうのだ。

そう考えると、長きにわたって牡馬の古馬と闘いを繰り広げた、ウオッカやブエナビスタの強さがより強調されるはずである。普通ならば、肉体的にも精神的にも揉まれて、燃え尽きてしまったり、萎縮してしまったりするところを、あれだけぶつかり合って、逆に相手をねじ伏せるようにして天皇賞秋などを勝ってしまったのだから凄い。同じように牡馬の古馬を相手に一歩も引かなかったエアグルーヴは、母としてその強さを余すところなく伝えている。おそらく、ウオッカとブエナビスタの芯からの強さも、時代を超えて伝わってゆくに違いない。

「札幌はタフでなければ勝てない」

北海道で使うというのは、もちろん涼しい気候が馬のためによいということだ。北海道へ移動してきたとたんに元気になる馬がたくさんいる。

気候だけでなく、競馬場もいい。札幌は芝で1500m、1800m、2000mとバリエーションがあるのもいいし、ヨーロッパの馬場に近いタフな馬場だから、本当に能力がないと勝てない。

古馬の強豪がそろう札幌記念で好走するようだと、秋はどこへ行っても通用する。

(中略)

ついでにいえば、札幌はごまかしが利かないので、騎手の技量も要求される。ここでのリーディングジョッキーは、「うまい騎手」といっていいだろう。

これに関しては、説明する必要もないだろう。昨年の札幌記念を勝利したトーセンジョーダンは典型的な例である。それまではG1レースのタイトルはなかったが、札幌記念を勝つや、天皇賞秋をレコードで制し、ジャパンカップでもブエナビスタの2着に食い下がった。ヨーロッパの馬場に近いタフな馬場で勝ち切れるような馬は、本物の能力があるということだ。だからこそ、人気の盲点にはなっていたものの、天皇賞秋のスピードレースにも対応できた。

また、2011年の札幌リーディングは池添謙一騎手であった。オルフェーヴルとの出会いはあったにせよ、昨年、特に夏から秋にかけての目を見張るような活躍は、池添騎手の技術が円熟の極みに達してきたゆえである。ごまかしの利かない札幌競馬場でのリーディングは、上手い騎手であることの証明であるのだ。

こう考えると、昨年の秋のG1シリーズにおける、トーセンジョーダンの激走や池添謙一騎手の跨ったカレンチャン、エイシンアポロンの好走までも予見できた気がするのは私だけだろうか。少なくとも、たった1つのヒントにこれだけの意味が込められていることは分かっていただけるはずである。

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東京新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Tokyosinbunhai

■1■瞬発力のある追い込み馬
東京競馬場が改修され、最後の直線が僅かに長くなって以来、前半がスローになり、直線に向いたラスト3ハロンでの瞬発力勝負になるケースが多くなった。不良馬場だった2009年を除く、過去7年間の勝ち馬および2着馬の上がり3ハロンのタイムは以下のとおり。

2004年
ウインラディウス 33秒7
クラフトワーク  33秒3
2005年
ハットトリック 32秒9
キネティックス 33秒2
2006年
フジサイレンス 33秒9
オレハマッテルゼ 34秒5
2007年
スズカフェニックス 33秒3
エアシェイディ 33秒3
2008年
ローレルゲレイロ 34秒9
リキッドノーツ 33秒4
2010年
レッドスパーダ 33秒5
トライアンフマーチ 33秒4
2011年
スマイルジャック 33秒9
キングストリート 33秒8

開幕週のため時計が速いということもあるが、それにしても速い上がり時計が求められるレースであることが分かる。道中が極端にスローに流れると、逃げ・先行馬にとっても有利になるのだが、それ以上に瞬発力が身上の追い込み馬にとっては絶好の舞台になる。対照的に、極限の瞬発力を有さない(速い上がりに対応できない)先行馬や差し馬にとっては力の出せないレースになりやすい。

■2■スプリンター寄りの馬でももってしまう
東京競馬場のマイル戦は1600m以上のスタミナが必要とされるコースと言われているが、東京新聞杯のように道中がスローに流れるケースにおいては、レースの趣向は全く別物となる。これは例えばヴィクトリアマイルにも当てはまるのだが、道中のペースが極端にスローに落ちると、1600m以上のスタミナを保持していないスプリンター寄りの馬でも何とか最後までもってしまうのだ。

2007年の勝ち馬スズカフェニックスは、(のちに高松宮記念を勝ったように)本質的にはスプリンターだが、道中のペースが緩かったからこそ府中のマイル戦でも勝ち切ることが出来た。同じ舞台の安田記念でも人気になったが、道中のペースが厳しい府中のマイル戦ではスタミナ不足を露呈して、勝ち切ることはできなかった。つまり東京新聞杯では、従来の府中マイル戦のイメージを捨てて、上がり勝負に強いスピード馬を狙ってみるのも一計だろう。

■3■サンデーサイレンス系でもフジキセキ
ヨーイドンの上がり勝負になる以上、瞬発力勝負に長けたサンデーサイレンス産駒もしくはその直系の産駒に注目しないわけにはいかない。過去5年で6頭の馬が連対していて、3着馬や母父サンデーサイレンスにも手を広げると、さらにサンデーサイレンス系がいかにこのレースに強いことが分かる。

そして、上記のスプリンター寄りの馬でももってしまうという傾向を考慮すると、サンデーサイレンス系の中でもフジキセキ産駒はこのレースにフィットするのではないか。ではないかと書いておきながら、実は2006年にフジサイレンスが11番人気で勝ってしまっていて残念だが、サンデーサイレンス直仔がいなくなる以上、サンデーサイレンス系の中でも切れとスピード寄りのフジキセキ産駒が忘れた頃にやって来ることを覚えておきたい。

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シルエットが美しいテスタマッタ:5つ☆

■京都牝馬S
アスカトップレディ
牝馬にしては造りの大きい立派な馬体だが、まとまり過ぎている感も否めない。
この時期だけに、毛艶も冴えず、今回狙うべき理由が見つからない。
Pad3star

エリンコート
古馬らしい馬体になってきたが、それに伴って、この馬らしい柔らかさが失われた。
毛艶も物足りず、決して仕上がり具合が良いとはいえない。
Pad3star

エイシンリターンズ
線の細さは残してはいるが、古馬になって付くべきところに筋肉が付いてきている。
立ち姿も立派であり、毛艶も良いので、いきなりの好走もあるか。
Pad3star

コスモネモシン
若駒の頃から馬体的な成長は見られないが、ゆったりと使われていて好感が持てる。
毛艶は今一歩であり、絶好調とはいえないが、コンスタントには走るはず。
Pad3star

ショウリュウムーン
若駒の頃に比べて、明らかに馬体がパワーアップしているのが見て取れる。
前走の方が馬体の張りや毛艶が良かったが、力を出せる出来にはある。
Pad4star

ダンスファンタジア
馬の表情を見ると、かつてあった闘争心が失われてしまっている感がある。
また、コンパクトにまとまった馬体は、悪く言えばインパクトに欠ける。
Pad3star

レディアルバローザ
休み明けにもかかわらず、毛艶は絶好であり、馬体もふっくらと張りを取り戻している。
いきなり好走できるかは微妙だが、春に向けて、良い雰囲気で初戦を迎えられそう。
Pad4star

■根岸S
シルクフォーチュン
ダート馬らしからぬ、線の細さというか、スマートな馬体を特徴としている。
それでもゴールドアリュール産駒らしく、ダートのレースには滅法強いのだから驚く。
Pad3star

セイクリムズン
昨年に比べるとやや立派に映るが、それを差し引くと、前後駆の実の入りは素晴らしい。
どちらかというと手脚の長い体型だけに、府中の広いコースも合うはず。
Pad4star

ダイショウジェット
やや背中が垂れて映るが、それ以外のシルエットは9歳馬とは思えない。
毛艶も良く、筋肉の張りも素晴らしく、この馬の力は十分に発揮できそう。
Pad4star

ダノンカモン
昨年の夏ぐらいから、胴部が伸びて、ゆったりとした造りになってきた。
距離や体調の心配はなく、あとはゴール前で気難しさを見せるのをどう防ぐか。
Pad4star

ティアップワイルド
後ろ肢が突っ張り気味で、腰高ということも加わって、どうしても立ち姿に硬さが残る。
表情からも気難しさが伝わってきて、乗り方が難しいタイプだろう。
Pad3star

テスタマッタ
ダート馬とは思えないバランスの良さで、シルエットも美しく、芝でも力を発揮できそう。
調教こそ動かなかったが、毛艶も良く、筋肉のメリハリもあって仕上がりは良い。
Pad5star

Negisis2012wt

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語り継がれてゆく

Jiromaru

今から20年ほど前、栗東の坂路コースにひとり立ち続けていた調教師がいました。故戸山為夫調教師です。今となっては関西馬躍進の起爆剤となった栗東の坂路コースですが、20年ほど前までは誰にも見向きもされなかったことは意外と知られていません。そもそも最初は270mしかなかったのですから、当然といえば当然ですね(現在は1085m)。のちに渡辺栄調教師が加わり、2人は栗東坂路の名物調教師となりました。「変な調教師が2人、坂路コースで何かやっている」と揶揄されたこともあったそうです。

それでも、2人は坂路調教の可能性に賭けて、1日に何本も坂路を駆け上がらせて、馬を鍛えていったのでした。その結晶が、ミホノブルボンでありフジキセキなのです。故戸山為夫調教師が育てたミホノブルボンは、わずか700万円で取引された安馬でしたが、1日に4本もの坂路調教をこなしたとされています。それゆえ、「坂路調教の申し子」と呼ばれました。スピード馬でも鍛えて心肺機能を高めていけば距離も克服できる、という戸山為夫調教師の信念の代弁者でした。

今でも鮮明に思い出すことができます。1991年、朝日杯3歳S(現在の朝日杯フューチュリティS)でのミホノブルボンとヤマニンミラクルの火花の出るような追い比べを。ミホノブルボンは新馬→500万下と圧勝して、その勝ちっぷりと坂路コースでのハードトレが評価されて、圧倒的な1番人気に推されていました。対するヤマニンミラクルは前走で京成杯3歳Sを勝ち、4戦3勝の実績で対抗馬として評価されていました。私はその当時は戸山為夫調教師とミホノブルボンのマッチョさがあまり好きではなく、仕事人・田島良保騎手が乗るヤマニンミラクルの方に賭けていました。

直線で外からミホノブルボンを追い詰めた時、「差せ!」と思わず声が出てしまいました。脚色が違ったので、勝ったと思いながら声援を送ったのですが、ヤマニンミラクルに並ばれた瞬間、ミホノブルボンがグッとまた前に出たのです。そこから先は絶対に抜かせないという意志がこちらまで伝わってくるような粘り腰を見せて、ミホノブルボンがヤマニンミラクルをハナ差で制したのでした。あと少しだったのになあ、次にもう一度走ったら、今度はヤマニンミラクルが勝てるかもしれない、というのがまだ競馬を始めて2年目の私の正直な感想でした。でも、そうではありませんでした。

「馬を信じて乗らんかい!」

朝日杯3歳Sのレース後、ミホノブルボンの鞍上の小島貞博騎手は戸山為夫調教師にこう怒鳴られました。最近では、負けてもジョッキーを責めたりする調教師は少ないのですが、ジョッキーが勝って怒られるという話は稀でしょう。戸山為夫調教師は、ミホノブルボンを2番手に付けて綺麗な競馬をしようとした小島貞博騎手の騎乗に腹を立てたのでした。小島貞博騎手は先を見据えて折り合いをつける練習をしようと試みたのだと思うのですが、そのことがミホノブルボンの長所であるスピードを殺し、ヤマニンミラクルに影を踏ませたことにつながってしまったということです。坂路であれだけ鍛えているというのだからという自信が、戸山為夫調教師にはあったのです。

それからというもの、小島貞博騎手は吹っ切れたように逃げました。スプリングS→皐月賞→ダービー→京都新聞杯と、菊花賞で負けるまで、ひたすら逃げました。1ハロン12秒のラップをどこまでも刻み続けるサイボーグのような走りに、どの馬もついていけるはずがありません。皐月賞で初めてクラシックを制した時の小島貞博騎手の涙は美しいですね。馬を信じて、自分を信じて、調教師を信じて、全てを信じたからこその勝利だったのです。そう考えると、このミホノブルボンという馬は、あらゆる人の信じるという強い気持ちが乗り移った馬だったのですね。戸山為夫調教師はミホノブルボンがダービーを制した1年後にガンでお亡くなりになりましたが、今でも戸山イズムは関西の調教師たちに受け継がれ、ミホノブルボンにたずさわった男たちの信念もこうして語り継がれてゆくのです。


私を含め、この日本ダービーで人生が変わった競馬ファンは少なくないはず。

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シルクロードSを当てるために知っておくべき3つのこと

Silkroads

■1■差し追い込み馬を狙え
開催時期が2月上旬に変更になって以降、過去10年間のラップタイムは以下のとおり。

12.3-10.7-10.9-11.2-11.6-12.0 (33.9-34.8)M
12.6-10.9-10.8-11.2-11.1-12.0 (34.3-34.3)M
12.5-10.8-11.1-11.1-11.2-11.9 (34.4-34.2)M
12.3-10.7-10.9-11.2-11.3-11.7 (33.9-34.2)M
12.2-11.1-11.1-11.0-11.5-12.0 (34.4-34.5)M
12.0-10.7-10.8-10.7-11.2-12.4 (33.5-34.3)M
12.3-10.6-10.8-11.2-11.9-12.3 (33.7-35.4)H
11.9-10.8-10.9-11.0-11.7-12.2(33.6-34.9)H
12.2-11.1-11.1-11.2-11.0-11.5(34.4-33.7)M
12.5-11.0-11.3-11.1-10.9-11.4(34.8-33.4)S

スプリント戦にしては意外にもハイペースになっておらず、どの年も前半と後半がほとんどイーブンなペースで流れていることが分かる。京都の1200mコースは、スタートから最初のコーナーまでの距離が316mと長くも短くもない。3コーナーの丘を越えると、あとはゴールまで下り坂が続く。

一見、先行馬に有利な短距離戦に思えるが、実はそうでもない。前半が遅く見えるのは、スタートしてから第1コーナーまでが登り坂になっているから。ここで少しでもオーバーペースで行ってしまった先行馬は、最後の直線で脚が止まるのだ。2010年は前半よりも後半の方が速い、スローに極めて近いペースになったため、先行馬が押し切ってしまったが、基本的には中団よりやや後方で脚を溜める馬が有利になる。

■2■休み明けの馬は割引
厳寒期の始動戦という意味合いもあって、休み明けの一流馬たちは無理をして仕上げてはこない。その上、重いハンデを課せられるので、苦戦を強いられることになる。対して、2ヶ月以内にレースを使っている馬たちは、コンディションを維持しており、ハンデもそれほど重くはないはずで、一流馬相手にも好走が可能となる。ちなみに、開催時期が2月上旬に変更になって以来、過去10年の連対馬でアルティマトゥーレ以外の全馬ともに、前走で昨年の12月以降のレースに使われていた。前走からの間隔が開きすぎている馬は割り引いて考えた方が賢明か。

■3■淀短距離S組は負けた馬に妙味あり
番組のローテーション上、淀短距離Sが最も有力なステップレースとなる。ところが、淀短距離S→シルクロードSという連勝は、2008年のファイングレイン以外にはない(それまでは2着が最高)。それは淀短距離Sが別定戦で、シルクロードSがハンデ戦であることと関係があるだろう。淀短距離Sで負けて、ハンデが軽くなったシルクロードSで勝つというパターンはこれからも続くだろうし、その逆もまた然りである。

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舞い降りるべき人の下に

Jiromaru

池江泰郎元調教師が昨年12月、スポーツ功労者文部科学大臣顕彰を受賞されました。中央競馬の関係者としては8人目。メジロマックイーンやステイゴールド、ディープインパクトといった、歴史に名を残す名馬を育てたことなど、騎手時代から調教師を引退するまで、長きにわたって競馬界の発展に貢献してきたことが認められました。「こんな賞をいただけるとは思ってもいなかった。うれしい」、そう語りながら池江泰郎元調教師は感激していた、という話を聞いて、あるシーンが脳裏に蘇ってきました。

今から8年前、私は縁あってキングカメハメハの日本ダービーの祝勝会に参加させてもらいました。そこにはテレビや競馬場で観たことのあるジョッキーや調教師たちが集い、それぞれに金子真人オーナーを祝福していました。思い返せば、私はこのとき初めて、競馬関係者と直接話をしたのでした。ポツンとお酒を飲んでいた安藤勝己騎手に話しかけたりして、私は競馬ファンを思いっきり満喫しました。そんな中、金子真人オーナーに、招待していただいた御礼を伝えるとともに、写真を撮らせてもらうようお願いをしたところ、たまたま近くにいた池江泰郎調教師(当時)も一緒に入りませんかという話になりました。あのメジロマックイーンを管理した池江泰郎調教師とも一緒に写真に写れると思い、嬉しくて仕方ありませんでした。

ところが、池江泰郎調教師は、「いえいえ、私のような者は…」と言って、なかなか写真に入ろうとしません。「まあまあ、そうおっしゃらずに」と金子オーナーが再度誘ってくれたので、池江泰郎調教師は申し訳なさそうに横に立ち、なんとか一緒に写ってくれたのでした。調教師というと、偉そうにふんぞり返っている人という先入観が私にはあったので、名調教師または伯楽として名の知れた池江泰郎調教師の背中を丸めて恐縮している姿を見て、心が洗われるような気持ちになったのでした。あのときの驚きは忘れられません。私の祖母がよく言っていた、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉の意味が分かった気がしました。

そして、翌年、金子真人オーナーの所有馬であるディープインパクトが、池江泰郎調教師の手によって3冠馬となったとき、名馬というのは、舞い降りるべき人の下に舞い降りるのだなあ、と実感しました。

池江泰郎調教師は2011年に調教師を引退し、今は競馬評論家、解説者として活躍されています。何よりも、息子さんである池江泰寿調教師の管理する馬がG1レースを勝ったとき、一緒に口取りをしている姿が印象的ですね。特にオルフェーヴルという名馬は、自身が育てたメジロマックイーンが母の父、ステイゴールドが父という池江ブランドですから、思い入れもひと一倍強いはずです。父から子へ。「たまたまですよ」と池江泰郎元調教師は背中を丸めて謙遜されるかもしれませんが、やはりオルフェーヴルも舞い降りる人たちの下に舞い降りたのだと思います。

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根岸Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Negisis

■1■差し馬有利
過去のレースを観ると、差し馬―差し馬の決着が目立つ。サウスヴィグラスとメイショウボーラーが押し切ったレースでさえ、2着には差し馬が突っ込んできている。ただ単にこの2頭は圧倒的に力が抜けていたということで、基本的には差し馬が有利な展開になりやすい。そのことは、過去10年(中山で行われた2003年は除く)のレースラップを見てみれば明らかである。

2001年 ノボトゥルー
12.5-10.7-11.2-11.8-12.2-12.1-11.6(34.4-35.9)
2002年 サウスヴィグラス
12.5-10.7-11.2-11.8-11.9-12.1-12.6(34.4-36.6)
2004年 シャドウスケイプ
12.3-10.9-11.6-12.1-12.3-12.1-12.7(34.8-37.1)
2005年 メイショウボーラー
12.5-10.9-11.6-12.3-11.9-11.7-12.1(35.0-35.7)
2006年 リミットレスビッド
12.2-10.8-11.6-12.1-12.3-12.2-12.5(34.6-37.0)
2007年 ビッググラス
12.5-10.8-10.9-11.7-12.0-12.7-12.9(34.2-37.6)
2008年 ワイルドワンダー
12.2-10.7-11.4-12.0-11.9-12.0-12.5(34.3-36.4)
2009年 フェラーリピサ
12.2-10.6-11.3-12.1-12.1-11.6-12.2(34.1-35.9)
2010年 グロリアスノア
12.4-11.5-11.7-11.8-11.8-12.0-12.5(35.6-36.3)
2011年 セイクリムゾン
12.4-11.2-11.6-12.1-12.0-11.8-11.9(35.2-35.7)

スプリント的な要素が問われると前述したが、展開という面においては、スプリント戦であるガーネットS(昨年で廃止)とは性格がわずかに異なる。ガーネットSは前半3ハロンが32秒台後半から33秒台で流れ、後半3ハロンがガタっと37秒台に落ちる、前後半の落差の平均が4.5秒という「上がり不問」のレースである。それに対し、根岸Sは前半3ハロンは34秒台から35秒台で流れ、後半3ハロンは37秒あたりに落ちるが、前後半の落差の平均は約2秒という、「普通のハイペース」である。

ガーネットSのような「上がり不問」のレースでは、直線に向いた時には全ての馬がバテてしまっているような状態なので、前に行った馬がそのまま残りやすい。しかし、根岸Sのような「普通のハイペース」では、後ろからレースを進めた馬は脚が十分に溜まっているので、ハイペースで前が潰れた時に一気に襲い掛かることが出来るということだ。

■2■キャリアを積んだ高齢馬が有利
ほとんどの重賞においては、サラブレッドとして最も充実する4歳馬が力を発揮することが多いのだが、根岸Sに関しては5、6歳馬が圧倒的に優勢となっている。過去9年間の連対率は以下のお通り。

4歳→   8%  
5歳→  27%
6歳→  14%
7歳以上→8%

つい1ヶ月前までは3歳であった4歳馬が、キャリアを積んだ歴戦のダート馬にわずか1kgの斤量差で挑むのは、まだこの時期では苦しいと解釈するべきであろう。メイショウボーラーが勝利したように、4歳馬に勝ち目がないというわけではないが、苦戦を強いられることは間違いない。逆に考えると、ここで連対を果たせるような4歳馬は成長が見込める本番フェブラリーSでも好勝負になるということだ。

■3■前走ダート1200m組
過去9年の勝ち馬のうち、ビッググラス、ワイルドワンダー、フェラーリピサ以外の勝ち馬は全て前走ダート1200m戦組であった。【5・4・2・38】で勝率10%、連対率18%と圧倒的な数字を残している。スプリントとマイルの中間的な距離だが、根岸Sに関して言えば、勝つためにはスプリント的な要素がまず問われるということである。

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仕上がりの良いアドマイヤロイヤル、ルーラシップ:5つ☆

■平安S
アドマイヤロイヤル
ラインクラフトの弟だが、いかにもダート馬らしく筋骨隆々の好馬体を誇る。
斑点が浮かんでいるように、仕上がりも良く、パワーに溢れている。
Pad5star

インバルコ
前後駆の間隔がやや短く、寸詰まりに映り、立ち姿がやや硬い。
濡れたような毛艶は仕上がりの良さを示していて、体調自体は問題なし。
Pad4star

エスポワールシチー
年齢的なものか、良かった頃の馬体に比べると、迫力という点で劣る。
多少余裕のある馬体を含め、最高の出来にはまだ遠い印象を受ける。
Pad3star

スタッドジェルラン
やや前駆が勝っていて、後駆の実の入りに物足りなさを感じさせる。
大型馬とは思えない軽さがあり、ダートよりも芝馬のような馬体に映る。
Pad3star

タガノロックオン
前後駆にしっかりと筋肉がついたマッチョな馬体は松田博資厩舎の馬とは思えない。
全体のシルエットにはぎこちなさが残るが、体調に不安はない。
Pad3star

トウショウフリーク
一見するとダート馬とは思えない、すっきりとした馬体で軽さがある。
今回は逃げられるだろうが、気性的に抑えても競馬はできるはず。
Pad3star

ニホンピロアワーズ
ダート馬にしては線が細く、血統的にも芝の方が合いそうなだけに不思議だ。
砂を被ってもひるまない闘争心があるのだろうが、このメンバーでは厳しいか。
Pad2star

Heians2012wt_2

■AJCC
ゲシュタルト
幼さの残る馬体だったが、古馬になってから少しずつ成長してきた。
毛艶は良くはないが、筋肉のメリハリや全体のバランスは素晴らしい。
Pad4star

サンテミリオン
ふっくらとしているが、良かった頃の張り詰めた感じはない。
表情は良いので、精神的には問題がなく、あとは力関係のみか。
Pad3star

トーセンレーヴ
超がつく良血馬らしからぬ、どこにでも見られそうな平凡な馬体。
成長段階ではあるが、馬体としてはこれといって見るべきところはない。
Pad3star

ナカヤマナイト
共同通信杯のときが最高の仕上がりだったが、それに比べると良化途上か。
それでも、さすが海外遠征を経てきているだけに、貫禄を感じさせる立ち姿。
Pad3star

リッツィースター
馬体全体のアウトラインが美しく、胴部にも余裕があって距離は長い方が良い。
この時期にしては毛艶も良く、伏兵としてあっと言わせるシーンも。
Pad4star

ルーラーシップ
昨年の良かった頃の出来を上回る仕上がりにあって、文句なし。
前後駆にしっかりと実が入って、毛艶も良く、全体のラインも美しい。
Pad5star

Ajcc2012wt

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ヒーロー列伝

Heroposter

日本で洋式競馬が始まってから150年。私たち競馬ファンは、その間、たくさんのヒーローやヒロインに囲まれながら競馬を楽しんできた。ハイセイコー、シンザン、シンボリルドルフ、オグリキャップ、ディープインパクト、ウオッカなどなど、過去の記憶を呼び戻してみると、数え切れないほどのヒーロー、ヒロインが誕生した。現役時代はその走りを見せることで私たちを魅了し、ターフを去ってからは、人々に語り継がれることやその勇姿が収められた写真を介して、競馬の素晴らしさを私たちに伝えてきた。彼ら彼女らなくしては、今の日本の競馬はありえない。

「ヒーロー列伝」ポスターはそのひとつである。競馬場の行き帰りの遊歩道やウインズの館内などに何気なく張ってあり、私たちがいつともなく目にしているあのポスター。ハイセイコーから始まって、現在、72頭のヒーローがいる。それぞれにキャッチコピーもつけられている。目先の華やかさや利益や馬券を追うだけではなく、こうして歴史を語り続けることは大切である。大袈裟でなくていい。どんなヒーローやヒロインが日本の競馬を形づくってきたかを見てもらうだけでもいい。本物のファンは歴史を知りたいと思うものであり、また歴史を知れば知るほどファンになってゆくものだと思うからだ。

先日、ふらりと新橋のGateJを訪れたとき、オルフェーヴルの「ヒーロー列伝」ポスターが目に入った。栗毛を通り越して金色に光り輝く馬体が実に美しく、キャッチコピーには「黄金色の芸術」と書いてあった。オルフェーヴルの名前の由来である、フランス語の「金細工師」から連想したものだろう。今年、これから日本競馬の未来を創ってゆく馬だけに、もうポスターにしてしまうのかとも思ったが、よく考えてみると、すでに3冠馬であった(しかも有馬記念も勝っている)。私たちの夢が大きいだけに、3冠はあくまでも序章として霞んでしまっているのだ。この先、果たして、オルフェーヴルはどれほどの黄金を生み出してくれるのだろうか。私たちのヒーローとしての走りを期待したい。

■JRAポスター「ヒーロー列伝」コレクションはこちら
Heroretuden
過去のヒーローたちの勇姿がご覧いただけます(必見です)。
こうして写真を見ると、マルゼンスキーが当時いかに規格外の馬だったことが分かりますね。

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AJCCを当てるために知っておくべき3つのこと

Ajcc

■1■やっぱり前に行ける馬が有利
12.7-11.3-11.9-11.6-11.7-11.9-11.8-12.1-12.0-12.2-12.2(59.2-60.3)H
13.0-11.6-12.5-12.0-12.2-12.0-11.9-12.1-12.0-11.6-12.3(61.3-59.9)S
13.0-11.3-12.3-11.9-11.7-11.7-11.8-12.1-12.0-12.0-13.0(60.2-60.9)M
12.7-11.3-12.7-12.3-12.2-12.1-12.1-12.2-11.8-11.9-12.3(61.2-60.3)S
12.3-11.8-12.5-12.2-12.7-12.4-12.0-12.1-11.6-11.7-12.6(61.5-60.0)S
12.3-11.3-12.7-12.2-12.0-12.4-12.4-12.2-11.9-11.2-12.0(60.5-59.7)M
13.0-11.9-13.0-12.8-12.7-12.5-11.8-11.4-11.5-11.3-12.3(63.4-58.3)S

前半が上りで、後半が下りというアップダウンの影響も大きいのだが、過去7年間のラップタイムを見るだけで、スローペースになりやすいことが分かる。同じ条件で行われるオールカマーほど極端ではないが、それでもやっぱり前に行ける馬が有利になる。

■2■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、マツリダゴッホしかり、ネヴァブションしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

■3■イマイチくんを狙え
古くはマチカネタンホイザやマチカネキンノホシから、最近ではエアシェイディなど、大レースではあと少しパンチ力が足りない馬たちが、AJCCでは見事に勝ち切ったケースが多い。時期的にG1級の馬が出走してこないことで出番が回ってくること、そして、現代の主流の瞬発力とスピードではなく、スタミナとパワーという反対のベクトルを問われるレースになりやすいことが理由として挙げられる。他のレースではなかなか勝ち切れなかったイマイチくんをここで狙ってみるのも面白い。

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あえて苦言を呈する

半年間の米国滞在を決めたとき、彼はまだ勝ち鞍も通算100勝に満たない、若手騎手のひとりだった。大リーグを例に取れば、高校中退後、すぐにメジャーリーグを目指して米国に移り住んだ、鈴木誠投手に似ているかもしれない。

後藤はなぜ、あのとき米国競馬に飛び込んでいったのか。

その理由を本人から聞いたことがないのでわからないが、日本では得られないものを米国で得よう、という気持ちだったのだろうか。

それにしても、デビュー5年目にして単身で米国へ渡ったのだから、勇気があるというか、たいしたものだ。しかも、彼は米国競馬を吸収し、かなり大きくなって、アメリカをそのまま全部もって帰ってきた。その姿は完全なアメリカンスタイルといえる。

そう簡単に騎乗スタイルを変えられるものではないので、天性の素質が高かったのだろう。日本では見つけられなかった素質を、アメリカで発掘してきた、といえる。また、帰国後の彼の大きさを見ていると、それなりのことを米国でしてきたことがわかる。

気になることもある。あまりにも米国流をやりすぎているように見えるのだ。

3コーナーから一気に押し切るアメリカ型競馬を日本でやり、後ろの馬に差されるケースが目につく。

「あまりアメリカ一辺倒でもまずいよ」と話したこともあるのだが、いまでも彼はステッキの使い方、姿勢、勝つレースなど「これぞアメリカ」という競馬を貫いている。

日本の競馬は欧州と米国の中間といえる特殊なスタイルであり、そこでアメリカ一辺倒の競馬をしても限界がある。日本にあった騎乗を頭の中に入れて、もう少し柔軟になってもいいのではないか。

彼ならさらに飛躍できる、と信じているからこそ、あえて苦言を呈する。

(「口笛吹きながら」より)

Nohirayuuji

今、こうしてしっかりと騎手の乗り方について苦言を呈することができる人はほとんどいない。いや、昔からいなかったのだが、祐ちゃん先生だけは例外だったと言うべきか。祐ちゃん先生がかつて騎手であり、実績があったからではない。日本の競馬の中で、騎手の乗り方に表立って口をはさむことは、ある種タブーであったのだ(今もそうありつづけている)。他のスポーツでは当たり前に行われているような指摘も、それが騎手に向けられると批判や非難となってしまう。日本の競馬の世界では、ジャーナリズムが機能しにくいのだ。そこには競馬村の閉塞感があり、日本の競馬は文化であり、スポーツであると胸を張って言えない状況がある。

祐ちゃん先生が苦言を呈したのは、後藤浩輝騎手ではなく、後藤浩輝騎手の乗り方に対してである。あまりにもアメリカ流をやろうとしすぎて、仕掛け(動き出し)が早くなってしまいがちな点を指摘したのだ。アメリカの競馬ならばそれで押し切れても、日本の競馬はアメリカ型とヨーロッパ型のレースが玉虫色的に混在しているため、ひとつの型ばかりだとどうしても勝ち切れないレースが出てくる。もしどんなレースにも対応したいと望むなら、日本に合ったスタイルに柔軟に変化させてゆく必要があるということだ。後藤騎手にとっては厳しい指摘かもしれないが、そこには日本競馬の将来を担うべき後藤騎手への期待と愛情が込められている。

もっとはっきりと言うと、後藤騎手に足りなかったのは、道中で脚をためて、最後の直線で爆発させる力である。これは完全にヨーロッパ流の乗り方であり、実は祐ちゃん先生も欧州の競馬に長期滞在したときにぶつかった壁であった。あのスピードシンボリをして、最終コーナーまで抜群の手応えで回ってきたにもかかわらず、勝ったと思ったその瞬間に、並ぶ間もなく抜き去られた。静と動のギアチェンジにおける、日本とヨーロッパの騎手の技術の違いを肌で感じた瞬間であったという。道中で同じように馬に乗っているように見えても、ヨーロッパの騎手が“溜める”だとしたら、日本の騎手は“抑える”だとも語った。

京成杯で1番人気のアドマイヤブルーに跨った後藤騎手の騎乗を見て、祐ちゃん先生のそんな話をふと思い出した。後藤騎手がアメリカ流をやりすぎているとは思わないが、道中で脚をためて、最後の直線で爆発させるのが不得手だとどこかで感じているからこそ、意識的にもしくは無意識的に早めから動いてしまう、または馬が察して動いてしまうのだろう。じっくりと脚を溜めて、びっしりと追った方が良いタイプのアドマイヤブルーとは、馬が合わなかったということだ。もちろん一方で、そうして積極的に動いて、ゴールまで我慢させて勝ちを拾ってきたレースがたくさんあることも事実である。そして、おそらく、当時まだデビュー5年目であった後藤騎手が、単身でアメリカに渡った理由もここにある。アメリカ競馬に対する単なるあこがれだけではなく、静と動のギアチェンジにおいて分が悪い騎手としての自分を冷静に見極めて、早めに動いて我慢させるアメリカ流に賭けてみたのではないか。その試みは見事に成功したといえる。自分の弱点を補って余りある強みを身につけて、後藤騎手は日本に戻ってきた。それからさらに強みを磨き、通算1300勝(2012年1月17日時点)を積み上げて、一流と呼ばれる騎手に成長したのだ。祐ちゃん先生の目は確かであった。

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平安Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Heians

■ペースにかかわらず内枠の先行馬有利
1分50秒を切ることもあるように、スピード決着になりやすい。ラップ構成は、以下のとおり、スロー~ハイペースまでランダムだが、どのようなペースになっても前に行った馬にとっては有利な展開になりやすい。昨年は極端なスローになり、瞬発力に優るメイショウトウコンとサンライズバッカスが差し込んだが、基本的には前々で攻められる馬を狙うべき。

12.2-11.5-12.3-12.0-12.2-12.2-12.0-12.3-13.0(48.0-49.5)H
12.4-11.7-12.7-12.3-12.6-12.3-12.4-12.4-12.5(49.1-49.6)M
12.2-10.7-12.8-12.4-12.8-12.7-12.1-12.2-12.4(48.1-49.4)H
12.2-11.2-13.0-12.8-12.8-12.7-12.0-11.5-12.0(49.2-48.2)S
12.3-11.5-13.4-12.9-12.1-12.2-11.8-12.3-12.5(50.1-48.8)S
11.9-11.2-12.4-12.5-13.1-12.6-12.0-12.6-12.8(48.0-50.0)H
12.1-11.4-12.3-12.3-12.7-12.4-12.8-12.5-13.0(50.7-51.7)H

また、京都1800mは第1コーナーまでの距離が286mと短い。そのため、馬群が十分に固まらないうちに1コーナーに突入し、外枠の馬は外を回されてしまう確率が高い。スローに流れやすい展開やフルゲートになりやすいことも考えると、経済コースを回って競馬ができる内枠の馬が有利になることは間違いない。

■粘り込めるミスタープロスペクター系、ロベルト系が強い
平成14、15年と逃げ切ったスマートボーイはトップサイダー系アサティスの産駒だが、過去13年間、それ以外のレースの勝ち馬はミスタープロスペクター系(6頭)もしくはロベルト系(5頭)から出ている。スピード決着になりやすく、先行して粘りこむ競馬になりやすいことが大きな理由である。ただし、京都1800mはごまかしの利かないコースなので、スタミナに不安のある馬では厳しい。そういった意味では、もちろんダート1800mでの実績も必要である。

■実績馬に有利なレース
グレード別定戦であるため、それほど重い斤量を課せられない実績馬にとって有利なレースになる。とはいえ、58kg、59kgを背負って馬券圏内に入った馬はいないように、あまり重い斤量を背負う馬は苦しくなくなる。

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グッドルッキングホース、アドマイヤブルー:5つ☆

■京成杯
アドマイヤブルー
スラリと馬体が伸びて、全体のシルエットが美しいグッドルッキングホース。
前後駆にもしっかりと実が入って、筋肉のメリハリも素晴らしい。
Pad5star

アーデント
幼さを感じさせる馬体であり、完成はまだまだ先の印象を受ける。
まだ実が入っていない現状でもこれだけ走っているのだから、潜在能力は高い。
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スノードン
朝日杯フューチュリティSの時もそうだったが、筋肉量が多い割に馬体が幼く映る。
顔つきは精悍さを増しており、気持ちの強さでどこまで食い下がるか。
Pad3star

ベストディール
平凡な馬体をしており、とても鳴り物入りのディープインパクト産駒とは思えない。
表情も冴えず、立ち姿にも力強さはなく、今のところ特筆すべきはない。
Pad3star

マイネルロブスト
毛艶は冴えないが、前走に比べて、馬体全体がまとまってきた感がある。
ゼンノロブロイ産駒にしては胴が詰まっているので、距離は2000mぐらいまで。
Pad3star

ロジメジャー
全体的にメリハリに乏しく、完成度が低い、これからの馬体といえる。
毛艶も冴えないので、体調が良いとも思えず、今回は期待薄か。
Pad2star

■日経新春杯
スマートギア
7歳馬にして、全体のバランスが取れてきて、力強さの漲るシルエットを誇る。
毛艶も悪くなく、調子は良さそうなので、乗り方次第では一発の可能性も秘めている。
Pad3star

スマートロビン
立ち姿に幼さを感じさせるが、さすが松田国英厩舎と思える筋骨隆々の馬体。
2400mを走るには多少馬体に余裕があり、もうひと絞りほしいところ。
Pad3star

ダノンバラード
黒光りする毛艶が、現在の体調の良さを物語っている。
早熟かと思いきや、馬体も充実してきて、3歳時に比べても力強さを増している。
Pad4star

トゥザグローリー
冬場に調子が上がってくるタイプで、立ち姿からも自信が溢れ出ている。
かつては力強さだけが目立った馬体も、今や全体のバランスも素晴らしく理想的。
Pad5star

ナムラクレセント
いかにもステイヤーらしく、線の細さが目立ち、力強さには欠ける馬体。
もちろん実力馬らしく、馬体に芯は通っているが、このメンバーと距離だと迫力不足か。
Pad3star

リベルタス
3歳時はコロンと映っていた馬体が、いやにスマートに見える。
まだ筋肉が戻り切っていないのか、それとも馬体が成長に伴って変化したのか。
Pad3star


Keiseihai2012wt

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Futurity Race & Paddock

自分がほしいものを作る。それがクリエイティブさの源泉だと思う。他人が何を喜ぶか、待っているかを知ることは大切だが、それだけでは事足りない。他人の目ばかりを気にして作っていると、いつのまにか自分の情熱が失われてしまう。アップルのスティーヴ・ジョブズが「Stay hungry, Stay foolish.」と言ったのはそういうことだろう。私たちはまずは自分を喜ばせるために何かを成すべきなのだ。

そんなことを改めて教えてくれたサイトがある。その名は「Futurity Race & Paddock」。簡単に説明すると、若駒のレースとパドック映像をまとめたサイトである。このサイトの素晴らしいところは2つあって、ひとつはもちろん若駒戦のレース映像だけではなくパドックの映像も見られるところ。パドックを時系列的に見て、その動きや馬体で各馬を評価するのは難しいが、このサイトを駆使すればそれも可能だろう。パドック派のファンたちにとっては垂涎もののサービスである。

もうひとつは、デザインが極めてシンプルであるところ。ここでいうデザインとは、見た目ということだけではなく、使い勝手ということも含まれ、つまりは誰にとっても使い方が分かりやすいということだ。たとえば、今週の京成杯に出走するアドマイヤブルーの名を検索ボックスに入力してみると、これまでの全てのレースとパドックの映像が出てくる。実際にサイトに行って、あちこちいじってみると、自分にとっての使い道が見えてくるはずだ。

このサイトを作り上げただけではなく、維持していくことの方が遥かに大変なだけに、製作者のchildviewさんには頭が下がる。私も陰ながら応援させてもらいたい。そして、多くの競馬ファンがこのサイトを使ってくれることが、childviewさんにとっては1番の励ましになると思う。明日の京成杯の勝ち馬だけではなく、ぜひ来年のダービー馬までを「Futurity Race & Paddock」で見つけてほしい。

■Futurity Race & Paddockはこちら
Futurityandpaddockimg

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