勝つためには、勝つ気で乗らない(賭けない)こと

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力はあるのに勝ち切れない馬がいる。勝てないレベルは様々だが、たとえばナイスネイチャやステイゴールドなど、特にG1レースにおいて惜しいところで勝利を逃がしてしまうような馬たちには、自分を重ねてつい応援してしまう競馬ファンも多い。しかし、その馬に関わる人たち(馬主や調教師、ジョッキーなど)は頭を抱えたくなるだろうし、馬券を勝った人々もそう。もちろん馬にとっても、引退後のことを考えると死活問題となる。

だからこそ、あらゆる手を使って勝とうとするのだが、そのことで人間が空回りして、かえって勝利から遠ざかってしまうことがある。たとえば、鞍上を交替させたにもかかわらず持ち味を引き出せなかったり、ジョッキーは切れ味を引き出そうとして差しに回ったら前が壁になって脚を余したり、今度は勝つために自ら早めに動いたことで足元をすくわれてしまったり。勝とうとすればするほど、悪循環を辿るようになる。

岩田康誠「勝つにはどうしたらよいでしょうか?」
安藤勝己「勝つ気で乗らんことや」

私が敬愛してやまない安藤勝己元騎手と岩田康誠騎手の間で、岩田騎手の中央移籍に際して、こんな言葉のやりとりがあったことを思い出した。まるで禅問答のような安藤勝己の騎乗論であるが、これはまさに老子の説く「無為(何もしない)」の思想である。

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完璧の部類のエアスピネル:5つ☆

☆フローラS
レッドベルローズ →馬体を見る
ふっくらとして好感が持てるが、筋肉のメリハリという点では今一つ。
首差しのバランスは素晴らしく、表情からは気性の良さが伝わってくる。
Pad4star

オハナ →馬体を見る
馬体重の小ささの割には、馬体を大きく見せているのは筋肉のつき方のせいか。
前後躯にしっかりと実が入って、この時期の牝馬としては鍛えられている印象。
Pad45star

レーツェル →馬体を見る
やや頭の大きさが目立つが、全身には柔らかい筋肉が付いている。
腹回りに余裕がなく、巻き上がって映るように、まだ線の細さが目立つ。
Pad3star

ノームコア →馬体を見る
牝馬にして前駆が発達していて、手脚も短く重心が低く、いかにもパワータイプ。
顔つきからも気持ちの強さが伝わってくるように、先行して粘り込むのが得意。
Pad4star

サトノワルキューレ →馬体を見る
コロンとして胴部が詰まって映るように、やや距離適性はマイル寄りか。
この時期の牝馬にしては筋肉量が多く、メリハリも十分にある。
Pad3star


サラキア →馬体を見る
前駆の力強さに比べて、トモの実の入りが物足りなく、また腹回りも細い。
末脚を生かす競馬をしているのは、前半の行き脚がつかないことゆえか。
Pad3star


☆マイラーズカップ
エアスピネル →馬体を見る
相変わらずの筋肉量とメリハリの素晴らしさで、馬体としては完璧の部類。
ここにきて胴部にも長さが出て、トモの実の入りもさらに良くなってきた。
Pad5star

ロジクライ →馬体を見る
後肢がスラリと伸びて、ハーツクライ産駒の走る馬はこうあるべきという馬体。
胴部にも伸びがあって、それを殺さない馬のつくりがされていて好感が持てる。
Pad45star

ダッシングブレイズ →馬体を見る
筋肉のメリハリは十分にあるが、柔らかみという点では今一つか。
それでも毛艶は良く、仕上がりは万全で、この馬の力を出し切れる出来にある。
Pad3star

グァンチャーレ →馬体を見る
6歳馬としては幼さを残している馬体で、もう少し地に脚の付いた立ち方を望む。
この時期になってきて毛艶は良化し、筋肉の柔らかみも伝わってきて調子は良い。
Pad3star

モズアスコット →馬体を見る
胴部の長さがあるのに比べて、前駆とトモに実が入っていてややアンバランスな馬体。
顔つきを見ると、気持ちの強さとここまでギリギリで戦ってきていることが分かる。
Pad3star

サングレーザー →馬体を見る
実にシンプルにまとまっていて、前駆の強さがあるため、マイル路線が合っている。
全体のバランスも良く、剛のエアスピネルに対して、柔のサングレーザーという感じ。
Pad4star

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フローラSを当てるために知っておくべき3つのこと

Floras

■1■前走500万下でキャリア3戦以上
桜花賞よりも距離的にはオークスに近いはずだが、フローラSの勝ち馬は過去10年間でわずか1頭しかオークスを勝ったことがない。桜花賞に間に合わなかった馬たちの最終戦であり、現時点では桜花賞組に比べて完成度が劣るからである。陣営もその辺りは承知で使ってくるはずで、オークス前のトライアルをひと叩きというより、とりあえずここを勝つことに目標を定めてきている馬が多いはず。

そこで狙ってみたいのは、前走が500万下を勝ち上がってきた馬と、フラワーCで惜敗を喫してしまい、目標を桜花賞からオークスに切り替えた馬の2パターンである。ただし、いくら前者の500万下組みであっても、キャリアが浅すぎてはいけず、最低3戦はあるべきだろう。

■2■意外と人気馬が強い
過去10年の人気別のレース着順をみてみたい。

1番人気 【4・1・0・5】 連対率50%
2番人気 【2・3・2・3】 連対率50%
3番人気 【1・1・2・6】 連対率20%
4番人気 【1・1・1・7】 連対率20%
5番人気 【0・0・0・10】 連対率0%

1番人気の馬から人気順に好結果を出しているように、意外と荒れない。3歳牝馬同士のトライアルということで荒れそうなイメージはあるが、人気馬が強い。好素質馬がここを勝つことを目標に仕上げてきたら、たとえ人気でも素直に狙ってみるべき。

■3■内枠を引いた馬
過去10年における枠順(内と外)別の着順は以下のとおり。

1~4枠 【6・6・5・60】
5~8枠 【4・4・5・82】

1~4枠の内枠が外枠よりも好成績を残している。スタートしてからすぐに第1コーナーに至ってしまう東京の2000mというコース設定を考えると、外枠よりも内枠の方がスムーズに先手を取ることができる。このレースの勝ちポジは前から10番手以内のできれば内なので、外枠からだとそのポジションはどうしても走りづらい。逆に8枠からは2頭の勝ち馬が出ているのは、どうせ外なら邪魔されずに自分のリズムを貫ける大外の方が良いということである。

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1歩だけ抜け出した


皐月賞2018―観戦記―
出ムチを入れてアイトーンがハナに立ち、ジェネラーレウーノとジュンヴァルロが続き、3頭が後続を離してレースを引っ張った。前半1000mが59秒2、後半が61秒6という前傾ペースではあるが、全体の集団はスローに近い流れ。先行集団のペースとレース全体の流れのバランスの中で、最も良いポジションに付けたのが勝ち馬と2着馬であり、3着馬は良く粘り、4着以下は差して届かずという内容であった。馬場が悪かったことも含め、小回りの4つコーナーを回るクラシック第1弾はやはり難しい。

勝ったエポカドーロは、好スタートから離れた3頭を追いかけることなく、全体の集団の先頭を走る形となった。道中も全く力むことなく、終始抜群の手応えで追走し、最後の直線に向いてからは1頭だけ違う脚で楽に抜け出してみせた。終わってみれば、この馬が最もレースセンスが良く、重い馬場への適性も高く、実力があったということだ。

前走のスプリングSではハイペースを先行して、惜しくも2着したように、力の片鱗は見せてくれていた。今回は一転して、とにかく展開と馬場が向いたことで、エポカドーロの強さが際立った。頭が大きく、手脚や胴部には伸びがなく、どう見ても理想の馬体からはかけ離れているにもかかわらず、これだけ走るのだからオルフェ―ヴル産駒は見た目では計れないということだ。打倒ダノンプレミアムに向けて、この馬が1歩だけ抜け出してきた。

戸崎圭太騎手はここ最近、調子を落として批判の的にされていたが、今回のレースに限っては非の打ち所のない騎乗であった。エポカドーロのリズムで走らせることが結果的に最高のポジションを走ることになったのは事実だが、特筆すべきは勝負所での仕掛けのタイミングだろう。前の3頭との距離を考えると、もう少し早めに動いてしまいたくなるが、あそこでひと呼吸、ふた呼吸置いたことが、完勝につながった。戸崎騎手の良さは、レース全体の流れの中の良いポジションに自分の馬を当て込んで勝利することであり、久しぶりに本領発揮といったところだろう。

2着に入ったサンリヴァルも、エポカドーロを前に見る形でレースを進め、最後まで伸びて力を出し切った。追い出してから少し抵抗したのか反応が遅れていなければ、もう少し僅差まで詰められたかもしれないが、今回は勝ち馬が一枚上であった。馬格があり、上がりの掛かる今回のような馬場も向いていた。敢えて言うならば、もし勝ちにいくために勝負するならば、エポカドーロの前につけ、自ら先行した3頭を追いかけても良かったかもしれない。

3着のジェネラーレウーノは、あれだけのペースで行って粘り込んだのだから、休み明けにもかかわらず良く走った。田辺裕信騎手もこの馬の気持ちを損ねることなく、思い切って行くところまで行ったのだろう。外から被せられる形になり、引くに引けない形になってしまったことだけが惜しまれる。

ステルヴィオとキタノコマンドールは、差し馬にとって苦しい展開と馬場の中、外々を回しながらも、最後まであきらめることなく追い込んできた。負けてはしまったが、力があることを証明してみせたし、次走以降につながる良い経験となったはず。次走の日本ダービーが良馬場で行われたら、もう少し先行できるだろうし、今回の皐月賞の上位馬たちとも差のないレース、もしくは逆転も十分に考えらえる。とはいえ、展開や馬場に左右されるということでもあり、ワグネリアンが見せ場なく敗退してしまったことも含め、日本ダービーはダノンプレミアム次第ということだろう。

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トラックバイアスを利用して予想する

Cover

開催当初は内外均一であった馬場も、レースが行われ、距離ロスをしないように各馬が少しでも内側のコースを走ろうとすると、どうしても内側の馬場、特に3~4コーナーの部分の芝が傷んできてしまう。そのため、馬場の保護を目的として仮柵による馬場の使い分けをしているが、この仮柵の移動によって、どうしても馬場の内と外で大きな有利不利が生まれてしまうことがある。

たとえば、移動柵を最大9m幅で動かせる東京競馬場に比べて、中山競馬場は最大でも6m幅でしか動かせない。中山競馬場は仮柵を移動することによって、内側からA、B、Cの3つのコースが作られる。仮柵を移動する際に、A→B、つまり内側から外側に移動する際には、内外それほど差の無い状態に保たれるが、もしC→A, つまり外側から内側に移動すると、仮柵を移動した部分の内側6mが絶好の状態の芝(グリーンベルトと呼ばれる)になってしまうため、内を通れる馬とそうでない馬とでは圧倒的な不公平が生じてしまうことになる(下図参照)。

Greenbelt

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柔らかい筋肉を誇るジェネラーレウーノ:5つ☆

ワグネリアン →馬体を見る
ここにきて急激に馬体がたくましくなってきたのは、母父の影響か。
それでも、首差しには線の細さが残り、前駆だけの力強さが目立っている。
Pad4star

ステルヴィオ →馬体を見る
休み明けをひと叩きされたものの、筋肉のメリハリは出てきていないのは意外。
それでも前走もきっちり走っているので、ふっくらしているのは良い傾向か。
Pad4star

ジャンダルム →馬体を見る
胴部には長さがあって、馬体だけを見ると、中距離が最も適しているはず。
顔つきを見ても、実に大人しそうであり、安定して力を出し切れるタイプである。
Pad3star

キタノコマンドール →馬体を見る
ディープインパクト×キングカメハメハという血統構成はパワータイプに出る。
手足がやや短く、その分重心が低く映るように、力を要する中山は合うはず。
Pad3star

ケイティクレバー →馬体を見る
やや首の高さが目立つが、スッと立てていて、手脚の軽さが良い方向に出ている。
まだ幼さを残している馬体であることは確かだが、実が入ってくれば面白い。
Pad3star

タイムフライヤー →馬体を見る
トモが鍛えられて盛り上がっているが、その分、腰高の馬体に映ってしまう。
胴部は詰まってコロンとして見えるように、全体的にまだアンバランスな馬体。
Pad3star

エポカドーロ →馬体を見る
お世辞にも良い形の馬体とは言えないが、これで走ってくるのがオルフェ―ヴ産駒か。
藤原厩舎らしからぬ見栄えのしない馬体は、とにかくパワーの塊という印象。
Pad3star

ダブルシャープ →馬体を見る
まだ身体のあらゆるところに幼さを残しているが、キ甲は発達しており力強い。
ややトモの実の入りが物足りず、パワーを問われる馬場では苦しいか。
Pad3star

ジェネラーレウーノ →馬体を見る
黒光りする馬体は相変わらずで、休み明けにも関わらず、きっちり仕上がっている。
前後のバランスも素晴らしく、柔らかい筋肉は走るスクリーンヒーロー産駒のそれ。
Pad5star

オウケンムーン →馬体を見る
いかにも線の細い馬体は、パワー不足と、将来性の高さを同居している。
このメンバーに入ってしまうと、現時点では力不足だろうことが伝わってくる。
Pad3star

アイトーン →馬体を見る
こちらはパワーに溢れている重戦車のような馬体で、重苦しさがある。
前後のバランスは良いため、スピード不足はあるかもしれないが、安定して走る。
Pad3star

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皐月賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Satsuki1

■1■弥生賞の勝ち馬は、皐月賞では勝てない!?
弥生賞は皐月賞と同じ中山2000mという舞台で行われるが、弥生賞を勝って、そのまま皐月賞をも制する馬は思いのほか少ない。その世代の素質馬が集結するハイレベルの弥生賞を制した馬は、普通に考えて、弥生賞と同じ走りができれば皐月賞はほぼ当確である。それでも、私が競馬を始めてからの25年間で弥生賞と皐月賞を連勝した馬は、アグネスタキオンとディープインパクト、ヴィクトワールピサの3頭の名馬しかいない。

なぜこのような現象が起こるかというと、弥生賞はかなりの状態に仕上がっていないと勝てない、その上、弥生賞では厳しいレースを強いられるからである。

クラシックを狙う有力馬が一堂に会する弥生賞は、当然のことながら、中途半端な仕上がりでは勝つことはできない。弥生賞を勝つためにはかなりの仕上げを施さなければならず、本番前に仕上げられた(仕上がってしまった)馬は、本番に向けて下降線を辿ってしまう。サラブレッドのピークはそれほど長くない。つまり、弥生賞を勝つために仕上げてしまうと、そのあとが続かないということである。さらに、それまでは楽な相手と楽な競馬しか経験してこなかった馬が、弥生賞で初めて厳しいレースを強いられるので、その肉体的、精神的な反動が次のレースで噴出してしまう。

その典型的な例は、平成12年の弥生賞を制したフサイチゼノンではないか。田原成貴元調教師と関口オーナーの間で一悶着あった馬であるが、フサイチゼノンは弥生賞の時点で既に仕上がってしまっていた。田原調教師はフサイチゼノンにかなりの素質を感じていただろうし、初年度である厩舎を盛り上げるためにも、弥生賞も勝って本番に臨みたかったに違いない。しかし、その勝ちを焦る気持ちが、フサイチゼノンを追い詰めてしまったのだ。肉体的にも精神的にもピークを過ぎてしまったフサイチゼノンは、もはや皐月賞に出走する状態にはなかった。関口オーナーに相談をしなかったのは田原元調教師の落ち度だが、出走を取りやめたのは英断であったと思う。

フジキセキ
ダンスインザダーク
フサイチゼノン
アグネスタキオン
カミノタサハラ

以上は、弥生賞を勝った後に故障を発生した馬たちである。厳しいレースである弥生賞を勝つことは、高い素質、能力を持つことの証明であるが、一方で失うものも大きい。そういう意味で、弥生賞馬はまず疑ってかかるべきである。

■2■皐月賞馬の条件
皐月賞馬に求められる条件は、以下の4つ。

スピード
パワー
器用さ
完成度

まず、「スピード」については、中山競馬場の内回りを使うコースは先行馬に有利であり、前にポジションするために秀でたスピードが求められる。スタミナに関しては、2000mまでこなせるマイラーであれば、十分に勝負になるはず。

「パワー」については、上にも述べたとおり、皐月賞は最終日に行われるため、馬場がかなり重くなっていることが多い。そのため、荒れ馬場をこなせるパワーが必要となる。さらに、1周1666m、直線310mという小さなスケールのトラックで行われるため、上手に立ち回りながら流れに乗ることのできる「器用さ」を備えているかどうかも問われる。

また、「完成度」の高い馬ということも挙げられる。その傾向は年々強くなってきており、この時期においてあらゆる面において完成されていなければ、このレースを勝つことは難しい。素質があり、なおかつ完成度が高いことが求められる。

■3■参考データとして
・前走が1800m未満の馬は×
・2月以降に1400m以下の短距離を一度でも使っていた馬は×
・連対率が50%を超えていなければ×

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あの名馬たちを彷彿させる


桜花賞2018―観戦記―
各馬が出方を伺うような形で第1コーナーへ向かい、コーディエライトとツヅミモンがゆったりとレースを引っ張り、その内に断然の1番人気ラッキーライラックがつけた。前半マイルが46秒6、後半が46秒5とフラットな流れ。道中の馬群の固まり方からは、スローに流れているように見えたが、意外にもどのポジションで走った馬にもチャンスがあったということだ。それにしても、2着、3着馬よりも3ハロンで1秒以上速い上がりで走った勝ち馬の強さは、これまでに見た名牝たちのそれと同じかそれ以上であった。

アーモンドアイは、スタートしてからほぼ馬任せのリズムで走り、外々を回って追い上げた。最後の直線に向いてからも待つ余裕があったように、他馬とは明らかに手応えが違って、ノーステッキで追い出されると力強いストライドを駆使してゴールまで伸び切った。ゴール前では耳を立てていたように、追えば追うほど伸びて行きそうな勢いであった。その飛ぶようなフットワークの軽さはあのディープインパクト、そして牝馬ではブエナビスタを彷彿させる。ロードカナロアは母系の良さを引き出すタイプの種牡馬であり、血統的にはフサイチパンドラから受け継がれるしなやかさが際立っている。

クリストフ・ルメール騎手は、実に落ち着いて、馬を信じて騎乗していた。新馬戦と未勝利戦を乗っていたとはいえ、前走は戸崎圭太騎手に乗り替わっていたので、久しぶりの手綱であった。にもかかわらず、こういう結果になると最初から分かっているかのように乗れたことに凄みを感じた。さすが勝率が2割4分のジョッキーだけある。安藤勝己元騎手が昔言っていた、「勝つためには勝つ気で乗らない」を体現した騎乗であった。変に馬を驚かせて、バランスを崩したりしてフットワースが乱れないように、ステッキを使わず、最後まで手綱だけで追ったことも今後に生きてくるはず。

敗れはしたものの、ラッキーライラックも素晴らしい走りをしている。スタートからゴールまで、ロスなく乗られて、持てる力を十全に出し切った。それでも外から差されたのだから、相手が強かったとしか言いようがないだろう。馬体が併さっていたらという問題ではなく、最後の直線における切れ味勝負になってしまうと、アーモンドアイには全くかなわないということである。とはいえ、この馬も底知れない強さを秘めており、かつてのダイワスカーレットとウオッカのような関係を、アーモンドアイと築いていってもらいたい。石橋脩騎手は悔しいだろうが、完璧に乗っている以上、誰も彼のことを責めることはしないはず。オークスではどのようにすればアーモンドアイに勝てるか、これから考えてほしい。

リリーノーブルも前走のチューリップ賞をひと叩きされて、肉体的にも精神的にもきっちりと仕上がっていた。この馬なりに力を出し切ったが、前の2頭はあまりにも強かった。生まれた世代が悪かったというべきか、それともこの先、2頭の名牝たちの名脇役として輝くのか、楽しみに見守りたい。この馬は距離が延びると良くないため、NHKマイルCに回るという選択肢もありだろう。

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最初から強さを信じ続ける方が馬券は儲かる

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最初は強く思えなかった馬でも、後々に本当の強さが分かってくる馬がいる。他馬を千切って勝ったり、激しい叩き合いを制したりすることもなく、レースの内容を見る限りにおいて、強さが伝わってこない馬。速いタイムで勝利したり、厳しいラップを刻んで押し切ったりすることもなく、数字的にもその強さが証明されていない馬。様々なタイプはあっても、つまりは私がその強さを最初から見極めることができなかった、私の想像を超えた強さを秘めていた馬ということである。

ダイワスカーレットという牝馬はまさにそうであった。最初から最後まで、厳密に言うと、2008年の天皇賞・秋でウオッカと名勝負を演じるまで、私はダイワスカーレットの強さを心のどこかで疑っていた。いつかそのうち、強い馬に簡単に負けてしまったり、厳しい内容のレースになったとき音を上げるのではないだろうかと考えていた。もちろん、馬券もほとんど買わなかった。

ダイワスカーレットが走った新馬戦からエリザベス女王杯に至るまで、レース前半と後半の3ハロンのラップを比べてみると、ほとんど全てのレースが超のつくようなスローペースに流れていることが分かる。

新馬戦 38秒1—35秒0 中京2歳S 36秒6—33秒8
シンザン記念 35秒6—34秒9 チューリップ賞 35秒4—33秒9
桜花賞 35秒7—33秒9 ローズS 35秒6—33秒6
秋華賞 34秒2—33秒9 エリザベス女王杯 36秒2—34秒1

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「競馬道Online」にて予想を提供します!

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「競馬道Online」にて、期間限定で予想を提供することになりました。市丸博司さんや奥田隆一郎さんなどの予想家の方々に混じって、私は「馬体のカタルシス」というタイトルの馬体を切り口とした予想を書かせていただきます。毎週3レースをピックアップして、馬体について学んでいただきながら、最終結論を導くというスタイルになっています。今週はG1桜花賞と阪神牝馬S、ニュージーランドTの3つのレースを取り上げています。私の場合、ほとんどは重賞レースについてとなると思いますが、これはという馬がいれば条件戦でも勝負してみたいですね。

競馬道Onlineは、オーイズミ・アミュージオと株式会社競馬ブックが贈る最強の競馬情報総合情報サイトです。1997年にオープンして続いているのですから凄いですね。1997年といえば、サニーブライアンが日本ダービーを逃げ切った年ですから、遥か昔のことのように思えます。期間限定であっても、そのような老舗サイトで予想を書かせていただくのは嬉しいです。実は有料サービスのコンテンツに予想を提供するのは初めてであり、少しばかり責任を感じると共に、身の引き締まる思いです。興味のある方はぜひご登録いただき、今日からの予想を楽しんでください!

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肉付きの良さと力強さが圧倒的リリーノーブル:5つ☆

アーモンドアイ →馬体を見る
全体的に3歳牝馬らしい線の細さは残すが、母に似て伸びのある馬体を誇る。
毛艶が実に素晴らしく、筋肉と皮膚の柔らかさが伝わってくるようだ。
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アンコールプリュ →馬体を見る
420kg台の馬体重とは思えないほど、しっかり実が入って大きく見せる。
手脚はすらりと長いが、やや細くて頼りないため、推進力には欠けるはず。
Pad3star

スカーレットカラー →馬体を見る
このメンバーに入ってしまうと、線が明らかに細くて、パワー不足を感じさせる。
トモの実の入りが物足りず、毛艶も冴えずに、体調が良くなるのは暖かくなってから。
Pad3star

ツヅミモン →馬体を見る
こちらもいかにも線が細くて、力強さという点では物足りなさを残している馬体。
暖かくなってきたにもかかわらず、毛艶も良くはなく、体調に関して疑問がある。
Pad3star

デルニエオール →馬体を見る
肉体的にも精神的も、当たりハズレの多い母系であり、馬体面はしっかりしている。
顔つきを見る限りは、気持ちの面で難しさを抱えているのか、鍵はレースでの精神面。
Pad3star

トーセンブレス →馬体を見る
ここにきて少しずつ実が入ってきて、パワーアップしてきた印象を受ける。
それでも、これと言って強調材料のない馬体であり、どこまで走れるか。
Pad3star

ハーレムライン →馬体を見る
前駆の力強さは目を引くが、それに比べてしまうと、トモの実の入りが物足りない。
しっかり立てていて、胸前の盛り上がりはダート馬らしく、スピードレースは不安。
Pad3star

プリモシーン →馬体を見る
手脚や胴部に十分な長さがあるため、ヒョロヒョロとして見えるが将来性は高い。
この時期になって毛艶が冴えて、黒光りしているように、体調自体は万全である。
Pad3star

マウレア →馬体を見る
手足がすらりと長く、この先、実が入ってくれば、中距離までは楽しみな馬である。
現時点では、トモの肉付きも物足りなく、いかにも非力な馬という印象を受ける。
Pad3star

ラッキーライラック →馬体を見る
トモ高に映るが、胴部にはかなりの長さがあって、スピードスタミナ両用タイプ。
耳が長くて機敏に動いているようで、この馬の運動神経の良さを物語っている。
Pad4star

リバティハイツ →馬体を見る
冬毛が残っていて毛艶が良くは見えないが、これで前走は勝っているので心配無用か。
それを差し引いても、筋肉のメリハリにも乏しく、さすがに今回のレースはどうか。
Pad3star

リリーノーブル →馬体を見る
これまでに上で紹介した馬とは、肉付きの良さと力強さで圧倒している素晴らしい馬体。
胴部に長さがないため、マイルがベストな距離であり、今回はドンピシャのG1となった。
Pad5star

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阪神芝1600m

Newhanshin1600

向こう正面奥からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。一度、コーナーを回り始めると、遠心力に身を任せながらゆっくりと4コーナーまで走ることになる。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとっては最適の舞台となるコースである。


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桜花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Oukasyo

■1■勝ち馬は「2敗以内」が目安
勝ち馬の条件としては、「2敗以内」であることが挙げられる。最近は、素質馬はあまりレース数を使わない傾向が顕著になってきており、桜花賞でも浅いキャリアで臨んできた馬が活躍している。数を使わない以上、レースに使うからにはきちんと勝てる状態に仕上げられているはずで、それでいて2敗以上しているということは、能力がないか、どこか足りない部分があるかのどちらかということになる。だからこそ、桜花賞を勝てる素質があるかどうかを見極めるためには、「2敗以内」という数字を目安にしたい。

さらに、「新馬戦を勝っている」、「牡馬を相手に勝利している」ことも、素質の有無を問うための材料にしてもよいだろう。

■2■前走の人気に注目
過去10年間で桜花賞を勝った馬の「前走の人気」を見ると、明らかな傾向があることが分かる。なんと10頭中5頭が1人気であり、2番人気が3頭、わずかに4~5番人気が1頭と、それ以下の人気であった馬は1頭も勝っていない。連対馬(2着馬)に目を向けても、8頭までが前走3番人気以内に推されている。

最も桜花賞に直結しやすいとされていたチューリップ賞だけを見ても、その勝ち馬よりも、人気に推されていたが負けてしまった馬の方が、本番での好走率が高い。つまり、前走で何着だったかという「実績」よりも、前走で何番人気に推されたかという「素質」、もしくは「資質」に注目すべきなのである。

■3■瞬発力のある馬が有利
平成19年から、桜花賞は新阪神コースの外回りで桜花賞は行われる。このことによって、勝ち馬に求められる資質が大きく違ってくることが考えられる。かつては器用さとスピードが求められていたが、今年からは「瞬発力」とそれを支える「スタミナ」が要求されることになるだろう。

ステップレースであるチューリップ賞(新阪神1600m外回り)とフィリーズレビュー(新阪神1400m内回り)のレースラップを見てみたい。

平成19年
チューリップ賞   12.4 - 10.9 - 12.1 - 12.2 - 12.2 - 11.1 - 11.0 - 11.8
フィリーズレビュー 12.5 - 10.9 - 11.4 - 11.7 - 11.4 - 11.7 - 12.2

チューリップ賞を見てみると、第1コーナーである3コーナーからガクンとペースが緩み、最終コーナーである4コーナーまで極端なスローでレースが流れていることが分かる。それに対し、フィリーズレビューではコーナーを回ってもペースがほとんど緩んでいない。

この2つのレースの違いは、展開うんぬんではなく、コースの構造に起因する。チューリップ賞が行われる新阪神1600m外回りコースは中盤が緩みやすいコース構造になっているのに対し、フィリーズレビューが行われる新阪神1400m内回りコースはそうではないということである。

つまり、道中が緩むことによって、本番の桜花賞もラスト3ハロンの瞬発力勝負になってしまう可能性が高いということである。

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誰が前にいたのか、誰を前に置いたか?


大阪杯2018―観戦記―
大方の予想どおりヤマカツライデンが先頭に立ち、前半1000が61秒1、後半が57秒1という究極のスローペースを先導した。これだけのスローに流れたのは様々な要因があり、その最大のものは、スマートレイアーがなぜか内の番手を主張して取り切ってしまったことにある。それほど先行力がある馬ではない(むしろ前半は鈍足な)スマートレイアーが2番手に収まってしまったことで内の隊列がデッドスペースとなった。それに外のダンビュライトとウインブライトの2頭も続いた形となり(本来はこの2頭は速い上がり脚がないのでスローにするべきではなかったはず)、内から外へと、レース全体がきっちりとフタをされてしまう形となったのである。

勝ったスワ―ヴリチャードは、外枠を引いたことが今回に限っては吉と出た。内枠を引いてしまっていたら、どん詰まりになって、この馬のフットワークの良さもスピードもパワーも生かせずに終わっていたかもしれない。これだけスローに流れれば、馬群の内を走れる方が有利になるのが定石だが、今回のような形になって外が生きるのだから競馬は不思議である。それでも、外から思い切って動いていったミルコ・デムーロ騎手の決断は素晴らしく、それに応えて、最後の直線でもう1度伸びたスワ―ヴリチャードの強さと本格化には拍手を送りたい。まるで調教のような走りでG1レースを勝つのだから、今後の活躍が楽しみである。荒削りなところも魅力のひとつであり、乗り難しさの残る馬だけに、デムーロ騎手へのスイッチは正解であったことが証明された。

2着のペルシアンナイトは、超スローペースを後方で我慢して、決して勝ち切れるレースではなかったが、持ち味であるしぶとい切れ味を発揮した。前走も同様にスローで脚を余したが、今回は外を回さなかった分、なんとか2着に届く結果となった。馬体もグンと良くなっていたので、次走も展開次第でチャンスは十分にある。福永祐一騎手のファインプレーは、アルアインの後ろに馬を置いたことである。自分の馬よりと力が同等かそれ以上の力があってスッと上がって行ける馬を前に置かないと、他のほとんどの有力馬がそうであったように、自分の動く進路がなくなってしまい、力を出し切れない。

アルアインは力をほぼ出し切っているが、欲を言えば、もう1段前に馬を置きたかった。スタートして外から続々と来られて中団に収まってしまい、外からスワ―ヴリチャードが動いたとき、あわせて動くことができなかった。完全な切れ味勝負に持ち込まれてしまうと、同僚のペルシアンナイトにも先着を許す結果が待っている。川田将雅騎手もベストは尽くしているが、この馬が勝つためにはもっと大胆な乗り方が要求される。

ミッキースワローは内枠の後方というポジションであったが、内が開かないと気づき、外を回した横山典弘騎手の好判断が功を奏した。それに対して、サトノダイヤモンドは最悪のポジションに終始収まってしまい、地脚の強さを全く生かすことなく終わってしまった。初騎乗ということもあっただろうが、好スタートを決めた時点で、もっと積極的に内の2番手(ヤマカツライデンの後ろ)を取りに行っていたら結果は違ったはず。トリオンフはスワ―ヴリチャードに併せ馬を挑み、はね返されてしまったものの、今後につながる競馬であった。これぐらいの勇気がないと、人も馬も不完全燃焼になってしまう。


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「馬体は語る―最高に走るサラブレッドの見つけ方」が発売されます!

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目次
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基礎編
Bataihakatarukisohen
馬の欠点を見るのではなく、美点を見ることをテーマとして、馬体のパーツごとに具体的な見方を解説していきます。基本的なことから実践的なことまで、120ページにわたって語っています。

種牡馬編
Bataihakatarushubobahen
ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ダイワメジャー、ネオユニヴァース、ハービンジャー、クロフネ、シンボリクリスエス、ロードカナロア、オルフェ―ヴルらの種牡馬を取り上げて、走った産駒の馬体の特徴等をひも解いていきます。

関係者インタビュー編
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岡田スタッドの岡田牧雄さんには超実践的な相馬の手法やスクリーンヒーロー、マツリダゴッホなどの種牡馬の産駒についても語っていただきました。また、社台ファームの下村優樹獣医師には、競走馬の疾病や怪我について、そして健康に走り続けることのできる馬の見かたについて教えてもらいました。

この本があれば、馬見に関しては全て網羅するつもりで書きました。種牡馬編については移り変わりがありますが、それ以外は10年後、20年後でも色あせない普遍的な内容になっているはずです。馬体の見かたのバイブルとして、ぜひ1冊お手元に置いてください。


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