宝塚記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Takara

■1■天皇賞春組有利へ
平成12年より、6月下旬へと日程が変更された。それまでは天皇賞春からの間隔が開きすぎていたため、調整が難しく、多くの馬は本来の力を出し切れない、もしくはここを使わなかった。

しかし、開催時期の変更後は、一転して天皇賞春組の活躍が目立つ。天皇賞春で1~3着だった馬は【5・3・2・20】、天皇賞馬に限っては【3・3・1・5】と実に堅実に走っている。天皇賞春からの間隔が適度に短くなったことが、天皇賞春組にとって有利になったことは間違いがない。もっとも、天皇賞春を勝つには極限に仕上げられたと考えてよく、その反動を考えると、天皇賞春→宝塚記念という連勝は意外と難しい。

そして、当然のことながら、この変更は安田記念組にはマイナスの影響を与える。特に安田記念を目標にして仕上がっていた馬や、安田記念で激走してしまった馬にとっては、中2週で宝塚記念というローテーションはあまりにも厳しい。安田記念は負けていた馬の方がかえって宝塚記念での成績は良い。

■2■スピードとスタミナの高い次元での融合が求められる
宝塚記念をひと言で表現すると、「スピードとスタミナの高い次元での融合が求められるレース」ということになろうか。これは阪神競馬場の2200m内回りというコース設定に拠るところが大きい。

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。 枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

■3■前走G1レース以外で負けている馬は×
宝塚記念は定量戦であるため、実力の差がはっきりと出てしまうレースである。宝塚記念の連対馬は、ほとんどが天皇賞春か安田記念からの直行組であって、別路線組はごくわずかである。これは、宝塚記念は実力が正直に反映される紛れのないレースであることを意味しており、前走G1以外のレースで敗戦していた馬ではまず勝負にならない。

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返し馬で見るべき2つのポイント

Jiromaru

今週の週刊「Gallop」の拙コラムにて、パドックにおける馬の見かたについて書きました。各論を説明し始めると1回のコラムに収まらないため、最も大切なポイントに絞って述べました。つまり、パドックでは馬の身体ではなく心を見よ、ということです。大切なのはこれだけと言っても過言ではありません。パドックという場所で私たちに分かることは、その馬の馬体の良さや仕上がりというよりも、競馬(レース)に向かうにあたっての精神状態だということです。私たちはパドックを歩く馬が発する心のメッセージを読み取らなければならないのです。

そこでは今週のユニコーンSに出走するグリムを例に挙げました。なぜかというと、前走で見た動きや姿が、実に素晴らしかったからです。今年のヴィクトリアマイルが行われた日、私は東京競馬場のパドックにいました。東京10R青竜ステークスの出走馬がパドックを歩き始め、私はいつものように馬の雰囲気を見始めました。さすがにこの時期にダートのオープン戦に登場するだけあって、どの馬たちもパワーに溢れた馬体を誇り、いかにもダート馬らしい身体つきをしていました。

競馬新聞に目を移してみると、6番のスマハマと4番のオメガパフュームが圧倒的な1、2番人気を争っています。勝つのは2頭のどちらかというのが大方の見解ということです。正直に言うと、オメガパフュームは小さくまとまっていてピンときませんでした。対して、スマハマは誰が見ても惚れ惚れするような好馬体で、畏怖堂々と歩き、このメンバーではダート馬としては抜けていると感じました。この馬で間違いないと確信した私は、マークカードを塗り潰そうとしてペンを手に取りました。

しかし念のため、全頭に目を通しておこうと思い直し、9番、10番の馬たちが私の前を通り過ぎ、最後の11番が眼前に現れた瞬間、私はハッと息を飲んだのです。タイプこそ違え、スマハマと同じかそれ以上に馬体を良く見せ、歩き方もスムーズで、それらがこの馬の精神状態の良さを物語っていました。先ほどまではスマハマで鉄板だと考えていた私の心は揺れ動きました。どちらを本命にしようか迷い悩んだ挙句、返し馬を見ることにしました。返し馬を見て馬券を買うことはほとんどありませんが、今回はそれほどに決めあぐねていたということです。

私は返し馬を見るときは、2つのポイントを重視しています。ひとつは、動きの滑らかさです。馬それぞれの身体には個性があるので、絶対にそうでなければならないというわけではありませんが、滑らかに返し馬に入り(走り出し)、滑らかにキャンターに入り、滑らかに止まる、一連の動きの滑らかさを見ます。身体のどこかが痛かったり、体調が悪くて苦しかったり、仕上がりが悪くて硬かったりすると、滑らかさを欠くという形で表出してしまうからです。返し馬への入りは硬かったけど、走っていると柔らかくなったり、ほぐれてきたりする馬もいますので一概には言えないのですが、一連の動作を見て滑らかな馬は良い返し馬と評価するのです。

もうひとつのポイントは、騎手とのコンタクトです。厩務員さんの手を離れて、騎手と1対1になったときに、どのような動きを見せるか。騎手の指示や扶助に対して、どのような反応をするのかをつぶさに観察します。分かりやすくいうと、騎手が行けと行けば行くし、右に行けといえば右、左といえば左、止まれという指示が出たらきっちり止まる。こういった意思疎通ができる馬なのか、また今日は走れる精神状態にあるのかということは非常に重要です。車でたとえると、ハンドルが利くのか、操作性が高いのかということを意味します。

騎手も同じような感覚で返し馬に臨んでいるはずで、ここでのコンタクトが悪いと騎手は不安になるはずです。レースに行って制御が利かなくなって暴走してしまったり、上手くポジションが取れなかったり、馬群を割れなかったりする心配が出てくると、できるだけ安全なレースをしようとして、消極的な騎乗につながってしまうかもしれません。逆に正しく騎手の指示に応えることができる馬であれば、ジョッキーも積極的なレースができ、またその馬もレースの流れにスムーズに乗れて、力を十全に発揮できる可能性が高まるはずです。

青竜Sのグリムの返し馬を見たとき、動きの滑らかさという点でも、騎手とのコンタクトという点でも満点でした。これだけ申し分ない返し馬を見たのは久しぶりな気がして、迷うことなくグリムを本命にすることに決めました。あとは見てのとおりです。馬も人も完璧なレースをしてくれて、スマハマを抑えて勝利したのです。前走は何もかもが思い通りに運んでの勝利だっただけに、今回のユニコーンSも同じように勝てるとは限りませんが、グリムが肉体的にも精神的にも素晴らしい馬であることは確かです。パドックや返し馬でどのような動きを見せてくれるか楽しみですし、レースでも力を発揮して、勝ってくれることを願います。

Unicorns2018wt


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函館SSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1、ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2、1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬
過去10年のラップは以下のとおり。
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M
12.0-10.2-10.9-11.6-11.4-12.1(33.1-35.1)H
11.8-10.4-10.9-11.5-11.4-12.0(33.1-34.9)H
12.1-10.8-11.4-11.9-11.4-11.8(34.3-35.1)M
12.0-10.7-11.4-11.6-11.0-11.8(34.1-34.4)M
11.9-10.8-11.1-11.4-11.3-12.0(33.8-34.7)M
11.7-10.3-11.0-11.6-11.8-11.9(33.0-35.3)H
11.7-10.1-10.4-11.0-11.4-12.2(32.2-34.6)H

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
平成24年、27年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制したこともある。過去10年の連対率も15%【4・2・5・30】と、牡馬の14%【5・7・4・72】に比べわずかに高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で巻き返すというパターンである。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

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ユニコーンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Unicorns

■1■現時点での完成度が問われる
過去10年の人気別の着順を見ると以下のとおり。
1番人気  【4・3・0・3】連対率70%
2番人気  【3・3・1・3】連対率60%
3番人気  【3・1・4・2】連対率40%
4番人気  【0・1・0・9】連対率10%
5番人気以下【0・2・6・111】連対率1%

分かりやすいほどに、人気馬が強く、人気順に連対率も高いという結果が出ている。東京ダート1600m戦というコース設定上、実力に劣る馬が勝ち切るのは難しい。とはいえ、将来的にG1馬となったのは過去10年でカネヒキリぐらいしかおらず、このレースの勝ち馬の将来性が高いとは言えない部分もある。つまり、実力だけではなく、現時点での完成度も問われるレースであるということだ。

■2■関西馬が強い
過去10年の関東・関西馬の成績は以下のとおり。
関東馬 【3・4・5・63】連対率9%
関西馬 【7・6・6・64】連対率16%

関東で行われる重賞レースであるにもかかわらず、関西馬が圧倒的に強い。ダートに適性を見いだされた3歳馬が集結する舞台であり、現時点で最も強いダート馬を決めるレースでもある。また、これまでは関西の競馬場で昇竜S、端午Sといった適切なステップレース(マイルよりも距離が長い)があることも、関西馬がユニコーンSで好成績を残せることにつながっている面もあったはず。

■3■スタミナが問われる
ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。実質的な第1コーナーは3コーナーとなるため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。それでも、意外と前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められ、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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ハービンジャー産駒は脚元の軽い馬を狙え

Jiromaru

僕が競馬を始めた頃は、ほとんどの種牡馬は輸入されてきたもので、父内国産なんて言うと、決して良血馬ではなく、走らない馬とイコールぐらいに考えていました。およそ四半世紀が経ち、サンデーサイレンスの影響もあって、日本の競馬のレベルが格段に高まったことで、現在はほとんどの種牡馬は内国産になりました。ディープインパクトやキングカメハメハ、ハーツクライ、ロードカナロアなど、私たちが現役時代の走りを見ている馬たちの子がターフを駆け回っています。これは日本の競馬ファンにとって幸せな風景ですね。

そんな中でも、ハービンジャーは海外から輸入された種牡馬であり、アウェーの状況をはね返すように、産駒は昨年大きくブレイクしました。ディアドラが秋華賞、ペルシアンナイトがマイルCS、モズカッチャンがエリザベス女王杯を勝ち、あっと言う間に世間の評判を高めることに成功しました。種牡馬リーディングも、2015年の14位から2016年の9位、2017年の6位と順調に成績を上げてきています。果たして今年、産駒たちはどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。

日本での走りを見たことがないので、ハービンジャーが勝ったキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを観てみることにしました。その走りを映像で見てみると、実に手脚が軽く、フットワークが綺麗で、速い時計にも対応できるスピードがある、まさに日本の競馬向きの馬であると確認することができました。サンデーサイレンスを父に持つ繁殖牝馬につけるという明確な目的もあったのでしょうが、社台グループが輸入を決めた気持ちが良く分かります。

馬体については、雄大な馬格があって、筋肉の付き方も量も理想的で、いかにもセリ市では評価が高い産駒を出しそうな種牡馬のそれです。 分かりやすく言うと、見た目が非常に良い、グッドルッキングホースということです。


結論から述べてしまうと、これは拙著「馬体は語る―最高に走るサラブレッドの見つけ方」にも書いたように、ハービンジャー産駒は脚元が軽い産駒が走ります。脚元が軽いというのが抽象的だとすれば、手脚がスラリと細くて長くて、重心が高いということです。逆に言うと、脚元に重さがある産駒は走らないということです。重心が低くて、筋骨隆々でパワーがありそうな、良く見えすぎる馬体の馬を買うと、日本向きの軽さがなくて走りません。

具体的に説明すると、ペルシアンナイトやモズカッチャンは走るハービンジャー産駒の典型的な馬です。それに対して、ディアドラはどちらかというと走らないタイプのハービンジャー産駒です。ディアドラは走ったじゃないかと言われそうですが、あの馬体の重さを考えると、秋華賞は重馬場になったからこそディアドラは勝てたと考えるべきです。軽いスピードが要求されるようなレースになると少々苦しいはずです。

☆ペルシアンナイト 2017年マイルチャンピオンシップ 出走時
http://www.keibado.com/keibabook/171120/photo02.html

☆モズカッチャン 2017年エリザベス女王杯 出走時
http://www.keibado.com/keibabook/171113/photo12.html

ハービンジャー産駒のこの見方は、一口馬主やPOGでも使ってもらえますし、馬券にも有効です。もちろん、生産者たちも脚元の軽い馬が走る傾向を掴みつつありますので、今後はそのような走る産駒が増えてくる可能性が高いです。そうなってしまうと、見分けることが難しくなってきますので、来年ぐらいまでが消費期限の見かたになってしまうかもしれませんね。今のうちに走るハービンジャー産駒を狙っておきましょう。

ということで、エプソムカップの本命はサーブルオールにします。腹回りに少しだけ余裕はありますが、手脚はスラリと伸びて、胴部にも長さがあり、重心が高く映ります。特に左前肢はまっすぐに伸びて、理想的な脚元ですね。今回は重賞初挑戦となり、力関係はどうか分かりませんが、この馬自身の体調は良く、走ってくる馬であることは間違いありません。

☆サーブルオール エプソムカップ2018
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo03.html

Epsomc2018_2


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マーメイドSを当てるために知っておくべき3つのこと

Marmaids

■1■スタミナ型を狙え
阪神2000mで行われるマーメイドSは、上がり3ハロンが33秒台のような瞬発力勝負にはならず、この時期の馬場が傷んでいることも加わり、上がりの掛かるレースになることが多い。また、ハンデ戦となった過去4年の勝ち馬の血統を見ても、ステイゴールド産駒が2頭とスペシャルウィーク産駒、ゼンノロブロイ産駒が1頭ずつと、サンデーサイレンス系の中でもスタミナ寄りの馬が活躍している。字ズラ以上にスタミナを問われるレースとなることは明白で、中距離以上のスタミナを有している馬を狙いたい。

■2■馬体重の少ない軽ハンデ馬の活躍
ハンデ戦となった過去10年間で、トップハンデ馬は【1・0・2・7】と振るわず、1番人気馬に至っては【2・1・1・6】と連対率は決して高くない。逆に、狙い目は軽ハンデ馬で、1~3着馬の30頭のうち、21頭がハンデ53kg以下という成績を残している。特に、普段は別定戦での斤量を負担に感じている馬体重の少ない馬が、ハンデ戦で軽量となった時にあっと驚く好走をすることもある。

■3■ヴィクトリアマイル組は疑問
ヴィクトリアマイル組は実績上位であるので、出走してくれば人気になるはず。ただし、以下の2つの理由で好走を望むのは難しい。

1)ヴィクトリアマイルで仕上がっているので、体調が下降線を辿っている。
2)ヴィクトリアマイルよりも豊富なスタミナが問われる。

1)はヴィクトリアマイルが目標である牝馬がほとんどである中で、ヴィクトリアマイル後、マーメイドSに出走してくるのは、ヴィクトリアマイルで勝てなかったため消化不良のケースが多い。ただ、当然のことながら、ヴィクトリアマイルに向けて100%に仕上げた馬の体調は、下降線を辿るため、ピークが過ぎた段階での出走となり、力を出し切れない。

2)ヴィクトリアマイルはヨーイドンの瞬発力勝負になることが多く、マイル戦とはいえ、意外とスタミナを問われないレースになりやすい。そこからいきなり阪神の2000m戦でレースをしてしまうと、要求されるスタミナが全く違うのである。求められる要素が違うためヴィクトリアマイルの好走馬が、そのままマーメイドSでも好走するのは難しい。

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エプソムカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Epsomc

■1■4、5歳馬が中心
4歳   【7・6・2・10】 連対率36%
5歳   【2・2・1・38】 連対率9%
6歳   【1・2・3・36】 連対率7%
7歳以上【0・0・4・44】 連対率0%

5、6歳馬が中心であった先週の安田記念と比べると、明らかに4、5歳馬が強い。これといった理由は思いつかないが、安田記念より距離が200m伸びて、ペースが落ち着きやすいということだろうか。前半3ハロンの平均が35秒8、後半3ハロンの平均が35秒7と、ほぼミドルペースで流れる。その分、スピードに任せて前に行ける若い馬の方が有利になるということだ。

■2■馬場によって適性が180℃変わる
東京の1800mはコーナーが2つで、サンデーサイレンス系のタメて切れる脚質が合う舞台である。ただ、この時期は雨が降りやすく、馬場が変化しやすい。ダービーが終わって、さすがに芝も荒れてくる頃だけに、雨が降ってちょっと時計の掛かる馬場になるとジワジワと脚を使う血統の馬が台頭する。具体的に言うと、キングマンボ、ペンタイア、マヤノトップガン、フレンチデピュティなど、非サンデーサイレンス系の馬である。サンデーサイレンス系でいえば、ダンスインザダークやマンハッタンカフェなど、どちらかというと長距離を得意とする種牡馬の産駒たちの方が適しているか。

■3■マイラーにとっては厳しいレース
ヨーロッパの血を持つ馬が活躍しているように、府中の1800mはスピードだけでは押し切れない、スタミナが問われる舞台である。過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が芝1800m以上の中距離で勝ち星を挙げていたことからも、マイラーにとっては厳しいレースになることが分かる。

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ルメール・マジック


安田記念2018―観戦記―
公言どおりウインガニオンが先頭に立ち、レーヌミノルとアエロリットがその後に続いた。(馬場が絶好だったので)レース全体の時計1分31秒3は速くても、道中で馬群が密集していたように、前半マイルが45秒5、後半が45秒8というG1レースとしてはややスローな流れであった。そのため、馬群の外を回してなし崩し的に脚を使ってしまった馬は末脚が鈍り、前に行った馬か馬群の内で最後まで脚を溜めた馬が馬券に絡んだ。このようなレースでは、引いたり押したりと馬を御す力量が試されることになり、外国人騎手と地方出身のジョッキーたちが上位を占めたのもうなずける。

勝ったモズアスコットは出走すら危ぶまれていたが、なんとか席が空いた運を見事に生かしてみせた。連闘が案じられてはいたが、先週負けてしまったから無理をして賞金を稼ぎに出たようなものではなく、予定通りの連闘であっただけに、杞憂に終わった。オーストラリアの競馬に精通している矢作調教師らしく、馬さえきちんとケアしていれば連闘は仕上げやすいことを知っており、また連闘に対する固定概念がなかったことも今回の勝利を呼び込んだのではないだろうか。モズアスコット自身も充実した馬体を誇っていたし、パワーとスピードが融合されたフランケルらしい産駒でもある。

クリストフ・ルメール騎手は、道中はやや窮屈になるところはあったが、慌てず騒がず、ゴール前ではきっちりと抜け出してみせた。決して望ましい形ではなかったが、その分、馬群の内を回って距離ロスを抑えたこと、さらには前を行くスワ―ヴリチャードの動きをマークした判断力が素晴らしかった。ルメール騎手の上手さを挙げていくとキリがないが、今回に限っては、レースの全体図を見た上でのコース取りと冷静なヘッドワークによるところが大きく、それがルメールマジックを生んだ。外国人ジョッキーと地方競馬出身の騎手がワンツースリーを決めたように、とにかく彼らは道中で距離ロスを抑えて脚を溜めることが、ゴール前の首差、頭差、ハナ差につながってくることを知っているのだ。

牝馬ながらも2着に粘ったアエロリットは、自らのペースで先行して、持てる力を出し切ってみせた。瞬発力勝負になると分が悪いので、ヴィクトリアマイルのような軟弱なペースよりも、今回の安田記念の平均ペースの方がこの馬の良さが出たと言える。今後は牡馬混合のマイル戦を中心に使っていくのが良いだろう。戸崎圭太騎手も先週のエポカドーロに続いて、スムーズに流れに乗せて抜け出し、最後まで持たせた技術はさすがである。 

スワ―ヴリチャードは初のマイル戦がG1となり、見事に対応してみせた。結果としては残念だったが、スタミナが豊富なタイプの同馬が、マイル戦を1分31秒台で走ってスピード能力を示してみせた。今回マイル戦を使ったことで、馬が前向きになりすぎてしまうのが最も怖いため、このまま休養に入り、秋は京都大賞典→天皇賞秋→ジャパンカップと使ってもらいたい。ミルコ・デムーロ騎手はスワ―ヴリチャードをマイル戦に対応させるため、できる限りの騎乗をしている。どのレースも勝つために騎乗するのがデムーロ騎手の良さでもあるが、先々のことを考えると、後ろから回って差して届かずの方が良かったかもしれない。

サトノアレスは良い脚で伸びたが、最後は止まってしまった。内から抜け出すような競馬ができればチャンスはある、と思わせるだけの力は示した。サングレーザーは少し前に行きすぎた。終いの脚を活かす方が良いタイプだけに、先週の日本ダービーとは対照的に、今回は福永祐一騎手の積極性が裏目に出てしまった。ペルシアンナイトは川田将雅騎手も認めているように、最後の直線で進路を探しているうちに、馬がファイトする気持ちを失ってしまった。川田騎手ほどのジョッキーでも、迷ってしまうと抜け出せないことがある。

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少し立派に映る馬を狙う

Jiromaru

僕は立ち写真を見て本命を決める予想法を、10年以上にわたって続けてきました。立ち写真を見始めたのは20年ほど前からですが、実際に1頭を選んで、お金を賭けてということをすると、また違った視点で馬体が見えてくるから不思議です。決断をしてお金を賭けてみることで、その結果を受けた反省が生まれます。なぜ当たったのかよりも、なぜ当たらなかったのか考察する過程が生まれるのです。そのようなサイクルを回すことで、自分の馬体を見るときの癖も分かってくることがあります。

ある時期、自分が5つ☆を付けた馬が、そのレースでは走らず、次のレースで走るという傾向が目に付いたことがありました。今回のレースで走ってもらいたいのに、なぜか次走で走るというもどかしさ。さすがにそのようなことが何度も続くと、僕も自分の馬体を見る目を疑わなければいけません。何がどう間違っているのか。自分が選んで走らなかったときの立ち写真自と、その次に走ったときの立ち写真を見比べて、自らに問うてみたのです。

そのとき気がついたことは、僕は少し立派に見える馬が経験的に良く見えているということでした。たとえば、ロードカナロアが本格化したのは4歳秋でしたが、秋初戦であるセントウルS出走時の馬体を見て思わず5つ☆を付けてしまったのです。それまでの馬体とは違い、トモにしっかりと実が入って、全体に一本芯が入ったという印象でした。いかにもスプリンターという体型が際立っており、素晴らしい成長具合だと感じたのです。

☆ロードカナロア 2012年セントウルS出走時

残念ながら、セントウルSではロードカナロアは2着に敗れてしまいました。これだけの立派な馬体に成長したのに、エピセアロームに差されてしまったことが不思議で仕方ありませんでした。次走のスプリンターズSでは、セントウルS時ほどに良く見えず、他の馬たちがもっと良く見えたことで評価を下げてしまいました。すると、僕のセントウルS時の見立てどおりに、本格化したロードカナロアは完勝して、以降は日本競馬史上最強のスプリンターとして君臨することになったのです。

☆ロードカナロア 2012年 スプリンターズS出走時

立ち写真を撮影しているのは、本番のレースの1週間前の週中ですから、ほとんど馬体は仕上がっている状態です。そこからさらに最終追い切りを経て馬体を仕上げていきますので、立ち写真を見る限りにおいては、ギリギリに絞り込まれている馬体よりも、少し余裕を持たせている馬体の方が、結果としては走っているのが事実です。ただし、あまりに立派に映りすぎて目を引くほどの馬は、その馬体の立派さの裏返しとして、レースまでには仕上がり切らず、レースでひと叩き必要である可能性もあるということです。そのあたりの線引きが難しいため、前述のロードカナロアのように、今回ではなくひと叩きされた次走で激走してしまうという現象が起こるのでした。

今週の安田記念に出走するモズアスコットは、パッと目を引くほどに立派な馬体をしています。これは安田記念の1週間前に撮影された立ち写真ですから、これぐらい立派に映って良いと思います。僕はこのような馬体を誇る馬に5つ☆をつけたい衝動に駆られますが、立派すぎる可能性もある以上、安土城Sを使ったことで馬体が仕上がったことがプラスに働くかもしれないのです。オーストラリア競馬に精通している矢作調教師にとって連闘は想定内ですから、完璧な仕上がりで出走し、走ってくれるのではないかと期待しています。

☆モズアスコット 2018年安田記念

Yasuda2018wt


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安田記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Yasuda

■1■外国調教馬の活躍
平成5年から国際競走として行われ、当初は欧州調教馬が大勢を占めていたが、ここに来て香港調教馬の活躍・台頭が目立つ。過去11年で外国調教馬の成績は【1・1・2・22】。香港から1頭の勝ち馬が出ている。もちろん、勝負になると思うからこそ遠征してくるわけで、たとえ人気がなくとも要注意である。

香港競馬はオセアニア産のスピード馬を輸入しながら、全体のレベルも年々上がっている。短距離路線に関して言えば、日本よりは層が厚く、スプリント戦でなかなか歯が立たないというのが現状だろう(それゆえロードカナロアの香港スプリント勝利の価値は高い)。マイル戦では、贔屓目に見てほぼ互角といったところだろうか。府中のマイル戦はスタミナも必要とされるため、サイレントウィットネスやグッドババのような小回りが得意なスプリンターではなく、少し長めの距離を得意とするブリッシュラックのようなマイラーを狙うべきである。

■2■高松宮記念勝ち馬の不振
平成12年 キングヘイロー    3着(3番人気)
平成13年 トロットスター    14着(4番人気)
平成15年 ビリーヴ       12着(9番人気)
平成17年 アドマイヤマックス 12着(4番人気)
平成18年 オレハマッテルゼ  10着(1番人気)
平成19年 スズカフェニックス  5着(1番人気)
平成20年 ローレルゲレイロ  15着(6番人気)
平成24年 ロードカナロア     1着(1番人気)

高松宮記念が3月に施行されるようになった平成12年以降、高松宮記念勝ち馬が安田記念に出走してきた際の成績は上の通り。勝ったロードカナロアはワールドクラスのチャンピオンとして例外として、それ以外の馬たちの中で、キングヘイローの3着が最高着順であり、スズカフェニックスそれ以外の馬は二桁着順に惨敗している。高松宮記念勝ち馬が安田記念で活躍できない理由としては、以下の2つが考えられる。

1、高松宮記念勝ち馬は本質的にはスプリンターである
当たり前のことだが、高松宮記念を勝つような馬は本質的にはスプリンターである。安田記念が行われる府中の1600m戦はマイル以上のスタミナを要求されるため、スプリンターはガス欠を起こしてしまう。また、中京競馬場1200mコース(小回り)と東京競馬場1600m(大回り)では、道中の流れが全く違うため、前走で高松宮記念を勝つようなリズムで走った馬は、安田記念ではリズムの違いに戸惑い、凡走してしまうのである。

2、高松宮記念を目標に仕上げられているため余力が残っていない
高松宮記念はレースを使い込んで仕上げてきた馬が勝つ傾向がある。そのため、2ヶ月後の安田記念までに余力が残っておらず、体調が下降線を辿ってしまう馬が多い。

■3■キャリアを問われるレース
過去10年の年齢別成績は以下のとおり。

3歳 【1・0・0・2】  連対率33%
4歳 【2・2・1・25】 連対率13%
5歳 【3・3・3・45】 連対率11%
6歳 【4・2・5・38】 連対率12%
7歳以上 【0・3・1・32】 連対率8%

安田記念はキャリアを問われるレースであり、過去10年の勝ち馬の年齢を見ても、5歳馬、6歳馬の3勝に対し、4歳馬は2勝。アドマイヤコジーン、アグネスデジタル、ダイワメジャーなど、紆余曲折を経た古馬たちが、そのキャリアや経験を生かして頂点に立ってきた歴史がある。

しかし、1996年に3歳馬に再開放されて以来、2011年は初めて3歳馬(リアルインパクト)による安田記念制覇となった。それまでは3歳馬が出走することすら稀であり、たとえ挑戦したとしても、ほとんどの馬が2桁着順に敗れてしまっていた。この時期の3歳馬にとって、古馬との戦いが厳しいことは確かだが、逆説的に言えば、キャリア豊富なマイラーを負かせるとすれば、4kgの斤量差を生かすことができた3歳馬ということか。

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外枠を引いたからこそ腹が決まった


日本ダービー2018―観戦記―
馬券が外れたレースの観戦記を書くのは辛いものだが、日本ダービーともなると余計に辛さは増す。心酔していたダノンプレミアムが敗れただけではなく、この馬だけには勝たれたくないと自分勝手にも思っていたワグネリアンに勝たれてしまったことが辛い。ずっと日本ダービーを勝ってもらいたいと応援していた福永祐一騎手を、一世一代のタイミングで応援できなかったのである。福永祐一騎手と共に勝利した日本ダービーではなく、福永騎手に勝たれてしまった日本ダービー。馬券を買っていたかどうかで、自分にとっての日本ダービーの意味が大きく変わってしまうのは何とも辛い。

勝ったワグネリアンの最大の勝因は、福永騎手の一連の騎乗が全て噛みあったことにある。さかのぼって行けばキリがないが、皐月賞において無理をして(馬を出して)勝ちに行かなかったことが、本番の日本ダービーで馬が引っ掛からずに、ギリギリ我慢が利いたことにつながった。皐月賞が行われた中山競馬場のコースや馬場状態を考えると、勝つためには馬を出して前にポジションをするべきであった。しかし、皐月賞でそのような競馬をしてしまうと、日本ダービーでは馬が最初から力んで行きたがる確率が高くなる。皐月賞での敗戦を受け入れても、日本ダービーで最も操作性が良くなる競馬に徹したということだ。

友道調教師が「最悪だ」と言った8枠を引いたことで、逆に福永騎手の腹は決まったのだと思う。もし内枠を引いていたら、福永騎手のことだから、それほど馬を出してはいかなかったかもしれない。勝つためには、これまでとは一変して、馬を前に出していく競馬をしなければならない。ワグネリアンのリズムに合わせて走らせると、後方から馬群の外を回らざるをえない競馬になってしまって、それでは届かない。外枠を引いて、そのことがはっきりしたからこそ、たとえ引っ掛かる恐れはあっても、馬を前に出して先行策を取ることを決意したのだ。もちろんそこには、これまでずっと馬を我慢させる競馬をしてきて、今回の日本ダービーにしてようやく馬を出していくため、それほど引っ掛からないだろうという冷静な計算もあったに違いない。日本ダービーを勝つためには、それまでのレースで教えてきたことの積み重ねに、最後の最後に運が必要であったのだ。福永祐一騎手、おめでとう。

もうひとつ付け加えておくと、ワグネリアン自身も皐月賞からダービーの間に馬が大きく変わった。負け惜しみでも言い訳でもなく、サラブレッドの資質という点においてはダノンプレミアムには及ばず、世間は過大評価していると思っていて、たしかに皐月賞まではそうだったが、日本ダービーを前にして馬がガラリと変わったのだ。それまでは馬体に硬さがあり、首にも力が入った走りになっていたが、この中間で軽さが出て、いわゆる水っぽさが抜けたのだ。ワグネリアンの成長曲線がたまたま日本ダービーと重なったのか、それとも友道調教師の仕上げの手腕なのか分からないが、これだけ本番を前にしてガラリと変わった日本ダービー馬も珍しい。

皐月賞馬のエポカドーロは、戸崎圭太騎手の好判断で先頭に立ち、あと少しで押し切れるところまで粘ったが、最後は距離適性の差が出てしまった。これだけの大舞台にもかかわらず、ハナを切っても全く動じず、道中をリラックスして走っていたように、この馬はハートが強い。パワータイプの馬だけに、距離は2000mぐらいまでがベストであり、秋は天皇賞秋を目指してもらいたい。

1番人気に推されたダノンプレミアムは、休み明けということもあり、道中の半分ぐらいハミを噛んで走っていた。レースを重ねるにつれて前に行きたがるようになってきたが、今回は距離が延長されたこともあって、我慢が利かずにスタミナを失ってしまった。ブラストワンピースも積極的に勝ちに行ったが、現時点では少しだけ完成度が足りなかった。それはキタノコマンドールも同じで、夏を越して秋になれば、また来年になれば、この世代の勢力図も今日とは大きく違ってくるはずである。

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馬には第6感がある

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唐突に思えるかもしれないが、2012年の桜花賞に出走できなかったハナズゴールの話をしたい。チューリップ賞を強烈な末脚で制し、桜花賞でも人気の一角を占めたであろうハナズゴールが、右後肢の蹄球部を傷めたとの理由で、直前になって出走を断念した。その知らせと理由を聞いたとき、「ああ、やはりそうか」と素直に私は受け入れることができた。

それはあのときの感覚に似ていた。2009年、ダイワスカーレットがフェブラリーSを回避したときのことである。ダイワスカーレットは前年(2008年)の秋シーズン、伝説の天皇賞・秋でウオッカに敗れたが、暮れの有馬記念を驚異的なラップを刻んで勝ち、トウメイ以来37年ぶりの牝馬による制覇という快挙を成し遂げた。その後、ドバイワールドカップを目指して調整され、ステップレースとしてフェブラリーSが選ばれた。究極の仕上がりで、あれだけ激しいレースをしたわずか2ヶ月後に、再びフェブラリーSを走ることに私は違和感を覚えていた。何もなければ良いが、と思っていた矢先、ダイワスカーレットは屈腱炎を発症し、現役を引退した。

そこに至るまでにも実は伏線があった。3歳時に、ダイワスカーレットは桜花賞を勝ってオークスを目指して調整をされる中で感冒を発症し、出走を回避した。4歳時には、前年の有馬記念でマツリダゴッホの2着したのちに、ドバイを目指して調教を重ねていたところ、跳ね上がったウッドチップ(木片)が目に当たるというアクシデントに見舞われ、ドバイ行きは白紙となった。ダイワスカーレットが特別に体の弱い馬だったわけでも、運の悪い馬だったわけでもない。ましてやダイワスカーレットが個人的にドバイに行きたくなかったからということでもない。馬の怪我や病気やアクシデントにはそれなりの理由がある。偶然ではなく必然なのである。

昨日の追い切りまでは非常に順調に進んでいましたが、調教後の手入れで馬が壁を蹴ってしまい、その際、右トモ脚の蹄球に痛みが出てしまいました。その後、様子を見て回復を待ちましたが、今朝になって症状が悪化。脚がつけないような状態になったので、今後のことも考えて回避することを決めました。(netkeiba ニュースより)
  ハナズゴールを管理していた加藤和宏調教師のコメントを聞いて、不可解に思った競馬ファンも多いだろう。蹴る癖があったとはいえ、なぜこのタイミングで怪我をしてしまったのか。もしかすると、出走できなかった理由は他にあるのかもしれないと訝しがる面々もいただろう。真相は誰にも分からないが、おそらくは本当に馬が壁を蹴って怪我をしてしまったのだと私は思う。表面的にはそういうことだが、深く考えてゆくと、ハナズゴールには出走できない必然的な理由があったはず。前走のチューリップ賞に臨むにあたって馬体重を12kgも減らしていた上に、驚くべき末脚を使って他馬を大外から差し切ったことが、ハナズゴールの肉体に影響を与えたことは間違いない。究極の仕上がりになければあの脚は使えないし、その反動は少なからずあったはず。もしあのまま桜花賞に出走できていたとしても、体調不良で本来の走りができなかったか、体のどこかを痛めてしまっていただろう。最悪のケースだってあり得た。あくまでも結果論ではあるが、出走回避という事実がそれを示唆しているのだ。ハナズゴールに勝ち目はなかったと。

馬は第6感に優れた動物である。馬は人間には見えていない何かを感じている。ハナズゴールは自分の身に迫り来る何かを感じ取っていたのだろう。だから、壁を蹴った。ダイワスカーレットは調教中にウッドチップを目に入れた。それとは別のかたちで、たとえば寝違えたり、鼻出血をしたり、脚元に異常が出たりと、あらゆる現象をもって馬は自分の身を守る。人間は偶然だと思うかもしれないが、馬にとっては必然なのである。身体的な疲労が怪我というかたちで表面化するという必然もあるし、馬が普段とは違う何かを感じ取ってアクシデントを引き起こすという必然もある。信じるかどうかはあなた次第であるが、ハナズゴールは自分の馬券を買おうと思っていた競馬ファンよりもずっと、自分が桜花賞に出走したら力を出し切れずに負けてしまうということを知っていたはずなのである。

ダノンプレミアムが皐月賞を回避したニュースには驚かされた。挫跖ということで事なきを得て、日本ダービーに出走することができるようになった。私はそれで良かったのだと思う。デビュー戦から無敗の4連勝で来たが、見た目とは裏腹に、肉体的にも精神的に追い詰められていたのだろう。もしそのままの状態で皐月賞に出走していたとしたら、敗れただけではなく、体調が音を立ててガタガタと崩れてしまったかもしれない。ダノンプレミアムはそれを察したのである。窮地を脱したダノンプレミアムは、立て直されて今週の日本ダービーへ向かう。全てはダービー馬になるための必然であったことを、ダノンプレミアムは自身の力で証明してくれるはずだ。

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岡田牧雄さんとの馬体対談(日本ダービー編)

UMAJIN.CHにて岡田牧雄さんとの馬体対談(日本ダービー編)が公開されましたので、(正直恥ずかしいのですが)下に動画を貼っておきます。改めて岡田牧雄さんとお話をする機会を設けていただき、北海道まで付き合って撮影・取材までしてくださったUMAJIN.netの関係者の方々、ありがとうございました。もちろん、いつも快く取材を受けてくださる岡田牧雄さんの懐の広さには感謝してもし足りません。この馬体対談動画が皆さまの参考になりますように。

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東京芝2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。

以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。


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ダービーを当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■乗り替わりは大きなデメリット
「すべての牡馬は生まれた直後から、ダービーを獲るという目標に向かって育てられる」と言っても過言ではない。すべての馴致、育成、調教という点は、ダービーに向かって線でつながっているのである。その線上において、騎手が実戦のレースにおいて競馬を教えていくという役割は大きい。道中を走るリズム、息を入れるタイミングを教え、馬群の中で走ること、馬群を割ることに対する恐怖を取り除くなど、レースをうまく運ぶためのコツを教えていくのは騎手の役割である。

それゆえだろうか、ダービーで乗り替わりがあった馬は、これまでに勝ったことがない。過去20年間で【0・7・5・103】という散々たる結果である。このデータだけを取っても、デビューから競馬を教えてきた騎手が、本番であるダービーで乗り替わることに、どれだけのデメリットがあるかが分かるはずである。

また、連対に絡んだ7頭の内訳は、平成13年のダンツフレーム、平成14年のシンボリクリスエス、平成16年のハーツクライ、平成18年のアドマイヤメイン、平成19年のアサクサキングス、平成22年のローズキングダム、平成27年のサトノラ―ゼンとなる。アドマイヤメインとアサクサキングス、サトノラ―ゼンを除いて、乗り替わり前の騎手が騎乗する馬に、乗り替わられた馬が先着していないということは面白い事実である。

たとえば、平成14年のシンボリクリスエスは武豊騎手から岡部騎手に乗り替わったが、武豊騎手はタニノギムレットでダービーを制した。また、平成16年のハーツクライは安藤勝己騎手から横山典騎手に乗り替わったが、安藤騎手はキングカメハメハでダービーを勝った。このように、ある騎手が乗り替わる前の馬に、乗り替わった後の馬が先着することは少ない。つまり、ダービーを勝つような馬は、どんなことがあってもジョッキーが手放すことはない、もしくは手を離れることはないということである。注)平成13年のダンツフレームの藤田騎手はダービーに騎乗していない。

■2■経験を積んだベテランジョッキー
過去の勝利騎手のほとんどは、経験を積んだベテランジョッキーである。あの武豊騎手でさえ12年もかかったように、ダービーを勝つことは他のG1レースとは比べものにならないほど難しいことなのである。円熟した騎手が活躍している理由として、

1、ダービーという異様な雰囲気の中で、平常心で騎乗できる精神力が求められる
2、ダービーを勝つためには騎手としてのあらゆる経験を生かさなければならない
ということが考えられる。 それ以前に、ダービーを獲れるだけの器の馬を依頼されなければならないし、多数を依頼された場合には、その中からダービーを勝てそうな馬を選択していかなければならない。つまり、ジョッキーとしてのあらゆる技術や経験が求められることになるのである。だからこそ、ダービーというレースは一朝一夕で勝てるはずはなく、騎手にとっても憧れのレースとなり得るのである。

■3■皐月賞からの直行組
ダービーでは皐月賞からの直行組が好走することが多い。直行組以外としては、以下の2つのパターンが考えられる。 1)皐月賞のあとにトライアルレースをはさんだ馬 2)別路線組 最近の傾向として、1)の皐月賞からダービーの間にレースをはさむ馬は少なくなってきている。ほとんどの有力馬がダービーに直行し余力を残している中で、トライアルを使うということは、それだけで十分なディスアドバンテージになるからである。それでも敢えてトライアルを使うとすれば、本番のダービーでは勝負にならないことを見越した上でのことであり、メンバーが落ちるトライアルで賞金を確実に稼ごうという意図が読み取れる。実力的にも足りず、余力も残っていない馬が、本番であるダービーで好走することが難しいことは想像に難くない。

2)の別路線組では、最近ではNHKマイルカップか青葉賞を勝ってきた馬の活躍が目立つ。NHKマイルカップからはキングカメハメハとディープスカイという大物が出ているように、決して相性の悪いレースではない。府中のマイル戦を勝ち切れるスタミナがあれば、2400mもこなせるということである。今後も注目のステップレースとなるには違いないが、中2週というローテーションを考えると、皐月賞からの直行組に軍配が上がるだろう。また、青葉賞からは古いところではエアダブリンが、最近ではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、アドマイヤメイン、フェノーメノが本番でも好走している。同条件を勝ってきた馬なので当然といえば当然なのだが、完成度がやっと追いついてきたという素質馬が多い。しかし、まだダービーの勝ち馬が出ていないのも事実である。

結論としては、1)のパターンは本番のダービーでは勝負にならず、狙うとすれば2)のパターンということになる。ただし、勝ち馬に限って言えば、皐月賞からの直行組を狙うのが定石だろう。

■参考データとして
1、前走G1レース(皐月賞かNHKマイルカップ)以外で負けている馬は×
2、2000m以上未経験の馬は×
3、前2走で連対なしの馬は×

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