菊花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kikka

■1■再びスタミナの裏づけが必要に
京都競馬場3000mで行われる菊花賞は、前半折り合いをつけながらゆっくりと行き、残り4ハロンからの瞬発力勝負になるレースがほとんどであった。つまり、折り合いさえついてしまえば、瞬発力のある中距離馬でも十分に対応できるレースであった。しかし、ここ最近は、その傾向に少しずつ変化が生じてきている。

過去20年間の菊花賞における、上がり3ハロンのタイムを比較してみたい。

平成8年  34秒4
平成9年  34秒4
平成10年 35秒1
平成11年 34秒2
平成12年 36秒1
平成13年 35秒3
平成14年 35秒4
平成15年 35秒8
平成16年 35秒8
平成17年 35秒7
平成18年 35秒6
平成19年 36秒2
平成20年 35秒3
平成21年 35秒8
平成22年 35秒6
平成23年 35秒1
平成24年 36秒1
平成25年 36秒1
平成26年 34秒9
平成27年 35秒4
平成28年 34秒7

平成11年までの上がりタイムを見ると、とても3000mのレースとは思えない典型的なヨーイドンの競馬であることが分かる。菊花賞を3000mで行う意義が問われ始めたのが、ちょうどこの頃。しかし、時代の流れとは不思議なもので、平成12年に開催が2週間早まったのを境として、最近は35秒台後半の上がりで決着することが常になってきている。

理由としては、道中のペースがそれほど緩まなくなってきているということ以上に、各馬の仕掛けが早くなってきていることが挙げられる。瞬発力勝負では劣るが、スタミナには自信のある遅咲きの馬たちが、春の実績馬を負かすために、一斉に仕掛け出すタイミングが早くなってきているということである。

このことによって、スタミナに不安のある馬たちの台頭は難しくなった。もちろん、この時期の京都競馬場の高速馬場や直線が平坦であることを考えると、ある程度の速い脚は要求されるだろう。しかし、実質3000mを走る上に、ペースが上がるタイミングが早くなってきている以上、スタミナの裏づけがない馬の末脚は不発に終わる可能性が高い。

■2■神戸新聞杯で切れ負けした馬
開催が2週間早まり、スタミナの裏づけが要求されるようになってからの過去10年間で、3着以内に入った馬30頭のうち20頭は神戸新聞杯組である。最大のステップレースであり、勝ち馬も8頭出ているが、なぜか神戸新聞杯→菊花賞と連勝した馬はディープインパクトとオルフェーヴル、ゴールドシップ、エピファネイアという最強クラスのみ。

これは神戸新聞杯が中距離での資質を問われるのに対し、菊花賞が長距離でのそれを問われたからである。つまり、神戸新聞杯で中距離に対する適性を見せて快勝したような馬は菊花賞で苦戦を強いられるということになる。むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を菊花賞では狙うべきである。

たとえ神戸新聞杯の距離が400m延長されても、その傾向は変わらないだろう。神戸新聞杯は前半1000mと後半1000mの間の400mが緩むレースになり、最後の瞬発力が問われるレースになる。だからこそ、スピードを持続させるスタミナが問われる菊花賞では、むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を狙うべきである。

■3■内枠はリスクあり
京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。そういった意味では、内枠が有利ではある。

しかし、内を進む馬には大きなリスクもある。まだ競走馬として完成していない3歳馬同士のレースであることや、クラシック最後の一戦であることも手伝って、3000mの距離を最後まで完走できない馬が出てくる。その勝負にならなかった馬たちが、急激にペースが上がる2度目の坂越えの時点でバテて下がってくるのである。ズルズルと下がってくる馬たちを上手く捌ければ問題ないのだが、もし上がって行かなければならないタイミングで前が壁になってしまうような事態に陥れば致命傷となるのだ。

過去にもゼンノロブロイやロックドゥカンブといった人気馬たちが、バテて下がってくる馬を捌き切れずに、スパートのタイミングを逸して負けてしまったことは記憶に新しい。ペリエ騎手は菊花賞であれほどバテた馬が下がってくることを知らず、あの位置にいたことを相当に悔いたらしい。柴山騎手はスタートで出負けして後方のインに閉じ込められ、簡単にG1レースを勝たせてはもらえないことを実感したはずである。つまり、ジョッキーとしては2周目の3コーナー手前までには外に出しておきたいレースなのである。

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意識の違い


秋華賞2017―観戦記―
雨が降りしきる中、かなりの力を要する重馬場でレースは行われた。大方の予想どおり、カワキタエンカが先頭に立ち、内枠からアエロリットが続く。そこにファンディーナが外から被せるように併走したことで、序盤のペースが落ちず、前半1000mが59秒1、後半が61秒1というハイペースとなった。差し馬にとっては差しやすい、逃げ先行馬にとっては最も残りにくい展開であった。もし逃げ先行馬にとって勝機があったとすれば、さらにペースを上げて、後続の馬たちの脚をなし崩し的に使わせ、極端に上がりが掛かる展開をつくり出したときだろうか。そのようなレースをつくるには、1番人気に推されたアエロリットは前半から力んで走り、最後の手応えが余りにも悪すぎた。

勝ったディアドラは、スタートダッシュこそ決まらず後方からレースを進めたものの、勝負所で内をスルスルと上がっていき、直線に向いたときには先に抜けた馬たちを射程圏に捕らえていた。序盤が思い通りに行かなかったことで、かえって腹を括れたのだろうが、クリストフ・ルメール騎手のあのコース取りがあってこその勝利であったことは間違いない。ディアドラ自身はオークスを好走したのち、夏を越してからめきめきと強さを増し、実に力強く堅実な末脚を発揮できる馬になった。重馬場を苦にしなかったこともあるが、極端な瞬発力勝負にならない限りはたとえ良馬場で行われていたとしても、勝っていたはず。ハービンジャー産駒にしては、馬体全体に軽さがあり、その点ではペルシアンナイトと似ており、これからは軽さのあるハービンジャー産駒が出世してくることを覚えておきたい。

リスグラシューはレースの流れに乗り、自身の末脚を最大限に発揮したが、勝ち馬の爆発力には一歩及ばなかった。前走をひと叩きされたことで、この馬も筋肉にメリハリが出てピリッとしてきたが、それでも成長力という点ではG1レースを勝つには物足りなかった。それでも着差だけを見ると、もし勝ち馬と通ったコースが逆であれば着順も逆であったかもしれないとも思える。それは最終コーナーにおけるコース取りだけの問題ではなく、騎手間の技量の差でもない。スタートしてから武豊騎手がずっと外に進路を探しているのに対し、ルメール騎手は内に入れる機会をうかがっている、その意識の違いである。なぜこれほどまでに2人の外国人騎手が勝ち星を挙げているのか、その違いはどこにあるのか、日本人騎手たちはもう1度見つめ直してみた方が良い。

積極的な騎乗で一旦は先頭に躍り出たモズカッチャンは、ゴール前で止まって惜しくも3着に敗れた。道中は内で脚をためていたが、結果論としては、少し仕掛けのタイミングが早かった。動いて負けたなら仕方ないと割り切れるのがミルコ・デムーロ騎手の良さであり、今回はたまたま負けてしまっただけで、攻めの騎乗でこれまで星の数ほどの馬を勝たせてきた。モズカッチャンは勝ち馬と同じハービンジャー産駒であるが、どちらかというとパワータイプなので今回のような馬場はプラスに働いたと言える。休み明けの前走をひと叩きされ、きっちりと変わり身を見せてくれた。

今年の秋華賞は重馬場で行われ、しかもハイペースに流れたので、もしエリザベス女王杯が良馬場で行われ、例年のようなスローの瞬発力勝負になった場合、秋華賞の結果がそのままエリザベス女王杯に結びつかない可能性も十分にありえる。その時に秋華賞から巻き返すとすれば、ディープインパクト産駒のファンディーナかカワキタエンカとなるだろうか。それとも、距離が延びて今度こそ勝ちたいリスグラシューだろうか。ヴィブロスやアドマイヤリード、スマートレイヤーなどの古馬と争う、エリザベス女王杯が実に楽しみである。

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強い逃げ馬が2頭いるとき、“行った行った”は起こる

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「行った行った」とは、逃げた馬と2番手の馬がそのままの形でゴールすること。最近は大レースではあまり見なくなってしまったが、かつてはここぞという場面であっと言わせる2頭による逃げ切りが起こっていた。あまりの勢いで2頭が競っているため、どこかで潰れるだろうと高を括っていると、意外や意外に、どちらも最後まで残ってしまうことがある。逃げ馬は自分のペースや型で走ってこそと思われがちだが、それだけが逃げ切りの成功や失敗を決める要因ではない。簡単にはバテない相手と馬体を併せて競り合うことで、自分が持てる力以上の粘り腰を発揮できることもあるのだ。

このことに気づかされたのは、今から10年前の皐月賞のこと。武豊騎手を背に弥生賞を勝った良血アドマイヤオーラが1番人気、共同通信杯を制し無傷の4連勝で臨んできたフサイチホウオーが2番人気に支持されていた。スタートが切られ、押して押してハナを切ったサンツェッペリンの外から、大外の8枠から発走したヴィクトリーがコーナリングを利して先頭を奪い返す。勢いがついた2頭は、向こう正面に入っても他馬を引き離す形で大きく先行した。そして残り600mの時点で、2番手を追走していたサンツェッペリンの松岡正海騎手がムチを抜き、ヴィクトリーに馬体を並べに動いたのである。

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自信に溢れている立ち姿と表情のアエロリット:5つ☆

ファンディーナ →馬体を見る
いかにも大型馬らしい、全体的に伸びがある理想的なシルエットを誇る。
ふっくらとして、つくべきところに筋肉がついて、ようやく力を出せる仕上がりに。
Pad4star

リスグラシュー →馬体を見る
前走は春からの成長が全く感じられなかったが、今回は筋肉のメリハリがついている。
ひと叩きされて、前駆がしっかりと盛り上がり、大きく上積みのある馬体。
Pad4star

ミリッサ →馬体を見る
腹回りがしっかりとしている割に、手足が長く、首差しも細くてアンバランス。
首の位置がやや高く、姉ほどに追って伸びるタイプではないので前に行くべきか。
Pad3star

モズカッチャン →馬体を見る
現時点でも腹回りにまだ余裕が残っていて、もうひと絞りできそうな仕上がり。
それでも、前後躯にパワーが漲っていて、京都芝の内回りコースは合いそう。
Pad3star

レーヌミノル →馬体を見る
春当時と変わらない線の細さがあり、どちらかと言うとスプリンター体型ではない。
胴部にも伸びが出て来ているが、いかんせん筋肉のメリハリが乏しくピリッとしない。
Pad3star

ディアドラ →馬体を見る
同じハービンジャー産駒のモズカッチャンと比べて、こちらの方が全体的に軽さがある。
最終的に走ってくるのはこちらのタイプだが、パワーを問われるコースでは互角か。
Pad3star

カリビアンゴールド →馬体を見る
手脚の長さが若干短く、胴部に伸びがあっても、重心が低く映るのは仕方ない。
毛艶は素晴らしく、皮膚も薄さを保っていて、調子はすこぶる良さそう。
Pad4star

ラビットラン →馬体を見る
走っているときの姿と比べて、立ち姿はさすがダート血統の馬らしく力強い。
特に前駆の盛り上がりから、やや腰高に映るぐらいのトモの充実は素晴らしいのひと言。
Pad4star

カワキタエンカ →馬体を見る
寒くなってきたにもかかわらず、毛艶は良いが、皮膚はやや厚さが残っている。
前後のバランスが優れていて、一介の逃げ馬ではないことが伝わってくる。
Pad3star

アエロリット →馬体を見る
前走に引き続き、黒さの目立つ馬体で、絶好調の状態を維持していることが分かる。
立ち姿から表情まで、自信に溢れていて、G1を制して古馬を倒して充実一途か。
Pad5star

ポールヴァンドル →馬体を見る
ダイワメジャー産駒にしては珍しい芦毛の馬体だが、馬体のつくりはいかにも。
やや重心が低いのも、パワーに溢れる筋肉のメリハリも良く、大崩はしないだろう。
Pad3star

リカビトス →馬体を見る
首を中心にして線の細さが目立つが、前駆はしっかりとして後躯にも実が入っている。
欲を言えば、もう少し胴部に伸びが出てくれば、G1レースの厳しさに対応できる。
Pad3star

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京都芝2000m(内回り)

Kyoto2000t

スタンド前の直線の半ばからスタートして、1コーナーまでの距離が最長のAコースでも308.7mとなる。スタートしてから1コーナー、そして1コーナーから2コーナーまでの距離が短いことによって、フルゲートにもなると先行ポジション争いは自然と激しくなる。

しかし、京都2000m内回りコースは「先行ポジション争い激化」という定説がすでに浸透してしまっている今、それゆえの盲点もまたある。つまり、これだけ「先行争い激化」のイメージが先行してしまうと、もちろんジョッキーたちもそれを意識するわけで、1コーナーまでのポジション争いには巻き込まれたくないという意識(または無意識)が働く。その結果、1コーナーから2コーナーにかけて、ゆっくりと安全に回ろうという騎手の総意が“お見合い”を生み、かえってスローペースを形成してしまうこともあるということだ。

また、3コーナーから下りが続くこと、直線が平坦なことによって、ラスト800mの時計は驚くほど速く、前に行っている馬は簡単には止まらない。そして、直線が短いことを含めて、騎手に先行馬有利という意識が強く働くため、3コーナーからすでに各馬の動きが激しくなり、展開を大きく左右することになる。後続の仕掛けどころが遅れると前がそのまま残り、後続が早く仕掛けすぎると前崩れが起きるという現象が起こる。

このように、「1コーナーまでの先行争い」、そして「3コーナーからの仕掛けどころ」という2点において、レース自体の展開におけるアップダウン(緩急)が非常に激しくなってしまうのだ。そして、そのアップダウンが逃げ馬・先行馬に有利になるのか、それとも差し・追い込み馬にとって有利になるのかは、実際のところ走ってみないと分からない。各馬のほんのわずかな動きがペースを大きく左右する、極めて敏感なコースなのである。これが京都2000m内回りコースの真実だろう。

さらに、勝負所である3コーナー入口と4コーナーが狭くなっているため、馬が密集しやすいという特徴もある。この地点でゴチャついて不利を被ってしまった馬は、直線の短さを考えると、余程力が抜けていない限り挽回することは難しい。

だからこそ、強い馬が力を発揮することなくレースが終わってしまうような展開になることも少なくない。騎手の間では、「1番人気の馬に乗っては臨みたくないコース」とされている。レースに行ってからの各馬の出方が展開に大きな影響を与えるため、レース前にどのような展開になるのかも予測しづらいのだ。そのレースごとに極端なハイペースになったり、極端なスローペースになったりするのである。騎乗するジョッキーだけではなく、予想をする私たちにとっても、非常に難解なコースと言える。


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秋華賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Syuka

■1■ジョッキーの腕が大きく結果を左右する
京都の芝2000m(内回り)に変更された年以降、過去15年間の前半5Fと後半5Fのラップを比較してみたい。前傾ペースとは前半のラップの方が速く、後傾ペースとは後半のラップの方が速いレースのことを示す。

平成19年 59.2-59.9 →平均ペース
平成20年 58.6-59.8 →前傾ペース
平成21年 58.0-60.2 →前傾ペース
平成22年 58.5-59.9 →前傾ペース
平成23年 58.3-59.9 →前傾ペース
平成24年 62.2-58.2→後傾ペース
平成25年 58.9-59.7→前傾ペース
平成26年 58.0-59.0→前傾ペース
平成27年 57.4-59.5→前傾ペース
平成28年 59.9-58.7→後傾ペース

ここ数年は前傾ペースに流れているが、平成24年と29年は一転して後傾ペース。それ以前はランダムなペースになっていることが分かる。開幕2週目の絶好の馬場と短い直線を考慮に入れると、基本的には先行馬にとっては非常に有利に働くコースである。しかし、逆にそのことを意識しすぎると、各馬の仕掛けが早くなり、極端なハイペースが創出されることになる。

また、道中のペースの緩急も激しく移り変わる。たとえば2007年の秋華賞では、道中(6ハロン目)でなんと13秒台のラップが刻まれた。スタートから2ハロン目はそれ以前の5年間で最速なだけに、ペースが速いと思わせておいて、急激に遅くなるというアップダウンの激しいレースであった。

2007年 ダイワスカーレット
12.3 - 10.4 - 11.5 - 12.2 - 12.8 - 13.6 - 12.4 -11.3 - 11.1 - 11.5

わずかな展開の綾によって、ペースの緩急が激しく移り変わり、前に行った馬に有利な流れになったり、一転して差し脚が生きる展開になったりする。こういうレースでは、馬をコントロールする技術やペース判断に長けたジョッキーの腕が大きく結果を左右することになる。レースの位置取りや道中での駆け引きなどを含め、騎手が占めるウエイトは大きいのだ。

■2■スピードの持続が求められる
この秋華賞でサンデーサイレンス産駒が苦戦を強いられたのは有名な話である。過去に行われた秋華賞に60頭のサンデーサイレンス産駒が出走して、2003年のワンツーフィニッシュと2005年にエアメサイアの勝利があるが、ほとんどの馬は4着以下に沈んでいる。1番人気に推されたトゥザビクトリーやダンスインザムードというビッグネームすらも惨敗しているのが、この秋華賞である。2006年も1番人気に推されたアドマイヤキッスが4着と凡走した。

【2・2・1・55】 連対率6%

この数字は、サンデーサイレンス産駒の秋華賞における成績である。サンデーサイレンス産駒の秋華賞での連対率は6%という極めて低い数値を示す。他のG1レースと比較してみても、10%を切るのはNHKマイルカップぐらいで、それ以外のG1レースではほとんど20%以上の連対率となる。たとえば、同じ牝馬限定G1レースであるエリザベス女王杯の31%と比べると、サンデーサイレンス産駒の秋華賞での不振は明らかになる。

サンデーサイレンス産駒がこのレースを苦手とした理由はただひとつ。小回りのゴチャつきやすいコースで、スピードの持続が極限まで求められるレースになりやすいからである。サンデーサイレンス産駒は、ゆっくり行って終いを伸ばすレースには滅法強いのだが、スタートからゴールまで速いラップを刻み続けなければならないレースを苦手としたからだ。つまり、秋華賞は瞬発力ではなく、地脚の強さで勝負する馬にとって有利なレースである。

■3■4つコーナーでも外枠有利
過去10年の秋華賞は全てフルゲートで行われたが、内外に分けた枠順別の勝率、連対率は次頁のとおり。

1~4枠 【5・4・6・74】 勝率6% 連対率10%
5~8枠 【5・6・4・65】 勝率6% 連対率14%

4つコーナーの小回りコースである以上、内枠有利が基本と考えてよいが、勝率、連対率共にほぼ同じという結果が出ている。ペースによっても内枠・外枠の有利不利は違ってくるので一概には言えないが、京都芝2000m(内回り)コースはゴチャつきやすいこともあり、距離ロスがあっても、外をスムーズに回した方がレースをしやすいということだろう。

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完璧なジョッキー、ルメール騎手を背にするソウルスターリングを狙う

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今となっては、外国人ジョッキーが日本の競馬場で騎乗し活躍することは当たり前の光景となったが、2001年の秋まではそうではなかった。この年、私の競馬に対する認識を改めるべき時が来たと思わせられる衝撃的な出来事が起こったのだ。JRA短期免許を取得して、フランスからやってきたオリビエ・ペリエ騎手が、マイルチャンピオンシップ→ジャパンカップ→阪神ジュベナイルフィリーズというG1レースを3週連続で勝利したのである。

ペリエ騎手が勝利した3つのG1レースにおける騎乗馬の人気は、4番人気(ゼンノエルシド)、2番人気(ジャングルポケット)、7番人気(タムロチェリー)。決して乗り馬に恵まれていたわけではない。普通に乗れば勝てる馬を普通に乗って勝ったものではなく(それだけでも簡単なことではないが)、普通に乗っては勝てないと思われていた馬を、ペリエ騎手が普通に乗って勝たせたのである。

競馬の世界において、「馬7騎手3」という言葉がある。あの出来事が起こるまで、この言葉の真の意味が私には理解できていなかった。競馬のレースにおける勝ち負けの要因として、馬の方が占める割合が大きいという程度の認識でしかなかった。たとえ武豊騎手がハルウララに乗っても勝てないように、騎手ではなく、結局は馬が走る。競馬新聞を見ても、そこにあるのは馬についての詳細かつ膨大なデータであり、競馬とはつまり“どの馬が勝つのかを当てるゲーム”だと考えていた。

しかし、そうではなかったのだ。

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休養明けとは思えない仕上がりサトノアラジン:5つ☆

 ★毎日王冠
サトノアラジン →馬体を見る
全身の筋肉にメリハリが出て、休養明けとは思えない良い仕上がりにある。
やや筋肉に硬さは残っているが、良馬場であれば初戦から力を出し切れるはず。
Pad5star_2

マカヒキ →馬体を見る
ゆったりとした馬体には伸びがあり、リラックスしている立ち姿は好感が持てる。
前駆の力強さは相変わらずだが、それと比べるとトモの肉付きがやや物足りない。
Pad4star_3

リアルスティール →馬体を見る
相変わらずのコロンと映る馬体はこの馬の特徴であり、走ってきたのだからOK。
今回の休み明けは、表情からも余裕が伝わってきて、この馬なりに力を出せる。
Pad3star_2

ソウルスターリング →馬体を見る
このメンバーに入ってしまうと、いかにも3歳牝馬らしい線の細さは残っている。
やや重心の低さはあるため、中距離がベストで、前走からの距離短縮は好材料。
Pad3star_2

アストラエンブレム →馬体を見る
夏場も使い詰めで来ているが、馬体だけを見ても馬体の疲れは全く見えない。
ほぼフレッシュな状態で走れるはずで、欲を言えば、筋肉のメリハリが物足りない。
Pad3star_2

グレーターロンドン →馬体を見る
5歳馬にしては幼さが残っている馬体で、休み明けもあって随所に余裕がある。
いかにもマイラーという詰まった体型のため、距離延長はプラスにはならない。
Pad3star_2

★京都大賞典
シュヴァルグラン →馬体を見る
ステイヤーのため本来は休み明けは良くないが、今回は好仕上がりに映る。
いきなり完璧と言うわけではないが、この馬なりに力を出し切れる仕上がり。
Pad4star_3

サウンズオブアース →馬体を見る
いかにも休養明けという、余裕残しの馬体で、もうひと絞りが必要か。
それでも、顔つきもリラックスしており、叩けば上積みは期待できるはず。
Pad3star_2

フェイムゲーム →馬体を見る
7歳馬とは思えないフレッシュな馬体を誇り、まだ活躍を見込めるはず。
いかにもステイヤーらしい体型で、欲を言えば、トモの実の入りが物足りない。
Pad4star_3

ミッキーロケット →馬体を見る
胴部がコロンとして映るように、明らかに中距離馬の体型であり距離は微妙か。
宝塚記念以来にもかかわらず、筋肉のメリハリは十分で、パワーに満ち溢れている。
Pad4star_3

マキシマムドパリ →馬体を見る
いつもよりスラリと見せていて、休み明けにしてはふっくらとしていない感も。
仕上がりが良いと捉えるか、疲れが癒えていないと考えるか難しい。
Pad3star_2

スマートレイヤー →馬体を見る
相変わらずの安定感のある馬体で、余裕は残しているが、この馬なりの仕上がり。
このような形の馬体で古馬になってから走り続けており、今回も力は出せる。
Pad3star_2

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毎日王冠を当てるために知っておくべき3つのこと

Mainitioukann

■1■とにかく逃げ・先行有利
府中の1800展開いらず、どんな展開になっても強い馬が勝つという意味の格言だが、開幕週に限っては当てはまらない。この時期の東京競馬場は、夏の間に十分根を張った軽いオーバーシード芝となる。洋芝はまだ芽が出かけた程度で、ほぼ野芝100%の極めて軽い馬場であるため、前に行った馬が簡単には止まらない。たとえかなりのハイペースになったとしても、とにかく逃げ・先行馬に有利なレースとなる。

■2■前走がG1、もしくは重賞勝利馬
過去10年間の、前走をクラス別で分けると以下のとおり。
G1    【4・6・3・37】
G2    【1・2・2・12】
G3    【3・2・4・41】
OP以下 【2・0・1・9】

過去10年の連対馬中で、10頭が休み明けの前走G1組、その他8頭はG2、G3をステップとしている。休み明けにもかかわらず、前走G1組が勝利しているように、この時期になると夏を使ってきた馬よりも実績のある実力馬にとって有利なレースとなる。前走がG1組であれば着順は関係ないが、G2、G3もしくはOP以下のレースをステップとしてきた馬は、前走勝って臨んできている上り馬であることが必須条件となる。

■3■5歳馬中心も3歳馬には注目
世代別の成績は以下の通り。
3歳馬【2・3・0・6】 連対率46%
4歳馬【3・4・3・17】 連対率26%
5歳馬【3・2・1・34】 連対率13%
6歳馬【1・1・3・17】 連対率9%
7歳馬以上【1・0・3・25】 連対率3%

連対率こそ変わらないが、勝ち馬、連対馬共に、夏を越して本格化した5歳馬の活躍が目立つ。秋の中距離G1シリーズに向けてキーとなるステップレースである以上、ひと夏を越しての成長が見込まれる馬を探すべきレースである。

また、3歳馬の連対率が46%と圧倒的に高い。出走頭数こそ少ないが、この時期に古馬にぶつけてくるような素質を見込まれた3歳馬が出走してきたら、かなりの確率で好勝負になるということである。

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まさに人馬一体


スプリンターズS2017―観戦記―
ワンスインナムーンが先頭を奪い、ダイアナへイロ―とフィドゥーシアが続き、ダッシュ力のある牝馬たちがレースを引っ張った。前半600mが33秒9、後半600mが33秒7という数字上は平均ペースではあるが、G1レースとしてはスローにあたる。後から行きすぎた馬にとっては差しづらく、しかも今年は内側が伸びるトラックバイアスのある馬場であったことも含め、外を回した差し馬にとっては厳しいレースとなった。そんな中でも、勝ち馬の末脚は際立っていて、このメンバーでは明らかに力が抜けていた。

勝ったレッドファルクスは、安田記念以来、休み明けのぶっつけ本番となったが、きっちりと仕上がっていた。昨年のスプリンターズSを勝った以降は調子を落としてしまい、香港で惨敗したのちそのまま休養に入ったことで今春は仕上がりが今一歩であった。そこから調子を上げつつ春は3戦し、調子が上向いた状態で夏の休養に入ったことで、秋シーズンに向けて仕上げやすかったに違いない。どのような形で休養に入ったかで、次のシーズンに向けての仕上げやすさや状態が違ってくるということである。レッドファルクスはダート戦でも勝ち星があるように、パワーに優れていて、中山競馬場の最後の急坂は合うし、香港の力の要る芝も得意とする。次走の香港スプリントでも大いにチャンスがあるはず。

ミルコ・デムーロ騎手は、馬の背に吸いつくようなフォームで乗り、まさに人馬一体となってゴールへと向かっている。レッドファルクスの力を信じ、あわてず騒がず直線では外に出し、ゴール板のところが最速になるような末脚を見事に引き出した。最後は手綱を緩める余裕さえあり、2着馬とはクビ差であるが着差以上の完勝であった。短期免許で乗っていたときは、勝ちにはやって危なっかしい騎乗が目立ったこともあったが、今は日本の競馬にも慣れ、アグレッシブさは残しながら周りの状況が見えるようになっている。クリストフ・ルメール騎手と並んで、もはや注文をつけるところのないジョッキーと言っては言い過ぎだろうか。

2着に入ったレッツゴードンキは、スローペースに乗じて内枠を生かしつつ、1200mを最短距離で回ってきた。ペースが速くなっていれば前の馬が下がってきて進路を失っていたかもしれないが、これだけ楽なペースで行ければワンスインナムーンもフィドゥーシアも最後まで下がってこなかった。マイル戦を走り切れるスタミナはあるが、最近はややハミを噛んで力んで走ってしまうため、今はスプリント戦がベストだろう。

メラグラ―ナは脚質的に後ろからのレースになってしまうため、展開に大きな影響を受けることは仕方ない。馬体全体のシルエットは美しいが、このメンバーに入ると線の細さが目立つように、もう少しパワーアップできるとG1レースに手が届くはず。セイウンコウセイはいつもの前進気勢に欠け、後手に回っているうちにレースが終わってしまった。このような結果が出てしまうと、高松宮記念を勝った後に函館SSを使ったことがより不思議に思えてくる。ローテーションはサラブレッドを生かしたりも殺したりもするのだ。ビッグアーサーは長期休養明けのため、高ぶる気持ちがコントロールできず、地下馬道から本馬場に出るときにはすでにまともに歩けていなかった。あれではさすがに力を出し切ること難しい。

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言葉が見つからない


凱旋門賞2017―観戦記―
今年の凱旋門賞は、ラフランコ・デットーリ騎手の騎乗するエネイブルが圧勝した。戦前は包囲網だのチーム戦だのと騒がれたが、そんなことお構いなしの強さで他馬をねじ伏せた。凱旋門賞を連覇した名牝トレヴと比べても、エネイブルはフットワークがより力強く、スタミナと勝負根性に優っていて、最強牝馬の称号に相応しい。それ以外の馬たちについては語ることはないレースであり、特に日本馬の2頭に関しては絶望的なまでに言葉が見つからない。

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最強にして生粋のスプリンター、サクラバクシンオーの血を引く馬を狙え

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電撃の6ハロン、スプリンターズステークス。その名のとおり、まさにスプリンターのためにあるレースであり、ロードカナロアが登場するまでは、私の中で生粋にして最強のスプリンターといえば、サクラバクシンオーをおいて他になかった。いや、ニホンピロウィナーの方が強かったなどという方もいるかもしれないが、少なくともここ数十年の間であれば、サクラバクシンオーほどの理想的なスプリンターを私は見たことがない。

サクラバクシンオーは、1993年と1994年のスプリンターズSを連覇した。特に93年のレースは、私自身、かなりの自信を持ってレースに臨んだ思い出がある。「サクラバクシンオーが勝つ姿を中山競馬場に観に行こう!」という文句で友人を誘ったぐらい。友人もサクラバクシンオーが本命であったが、私ほどの確信(妄信?)がなかったのか、当時のスプリンターズSは真冬の極寒の時期に行われていたこともあり、現地での観戦は断られてしまった。この時期になると今でも、「あの時、競馬場に行っていたら、最高のレースを目の前で観られたのになあ…」と友人に愚痴をこぼしている。

初めてスプリンターズSを勝つまでのサクラバクシンオーは、前向きな気性が災いし、一本調子に突っ走ってしまう馬であった。自身の溢れるスピードを抑えることが出来ず、スタートからとにかく全力疾走。素質は高かったのでそれなりに好走はするが、若駒の頃は典型的な人気先行タイプであった。そんなサクラバクシンオーが4歳の秋を迎え、キャピタルSで見せた走りに私は驚かされた。道中は2、3番手でピタリと折り合い、最後の直線に向いても鞍上の小島太騎手の手綱は持ったまま。ゴール前でわずかに手綱を緩められると、後続を楽々と突き放すという、ひと皮むけた走りを披露した。これだけスピードのある馬が、精神的に大きく成長し、スピードをセーブして走られるようになったのだから、他馬に付け入る隙はない。

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美しいシルエットを誇るダンスディレクター:5つ☆

セイウンコウセイ →馬体を見る
スプリンターらしく重厚感があって、全体的にバランスの取れた馬体は相変わらず。
レース間隔は開いたが、筋肉のメリハリは十分で、この馬の力は出し切れる仕上がり。
Pad4star

レッドファルクス →馬体を見る
馬体を見る限りは、短距離馬の馬体というよりは、マイラーのそれにあたる。
距離的には短いが、スタミナを問われる厳しい流れになったときに浮上する。
Pad3star

スノードラゴン →馬体を見る
筋肉の柔らかさはそれほど変わらないが、馬体のバランスはさすがに崩れてきた。
黒目がちな表情からも、気性面では落ち着いており、安定して末脚を発揮できる。

ファインニードル →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入っており、前走の好調をそのまま維持している馬体。
コロンとして映るように、胴部は詰まっているため、距離は1200mがベスト。
Pad4star

ラインミーティア →馬体を見る
首差しが水平に真っ直ぐ伸びており、このあたりが最後まで伸びる馬体の良さ。
とはいえ、手脚の短さがあって、重心が低いため、1200mが距離の限界か。
Pad3star

ダンスディレクター →馬体を見る
首差しにも胴部にも十分な長さがあって、美しいシルエットを誇っている。
休養明けをひと叩きされて、筋肉にもメリハリが出て、この馬としては最高の出来。
Pad5star

ダイアナへイロ― →馬体を見る
ふっくらと筋肉がついて、夏場を使ってきた疲労は全く感じさせない。
顔つきからは気性の難しさを感じさせ、いかにスムーズにレースを運べるかどうか。
Pad3star

レッツゴードンキ →馬体を見る
相変わらず牡馬顔負けのパワフルな馬体を誇っているが、成長している感はない。
凛とした表情も素晴らしく、休み明けでも気持ちは前向きになっている。
Pad4star

フィドゥーシア →馬体を見る
このメンバーに入ると、まだ線の細さが残っていて、力強さに欠ける馬体に映る。
枝の長いシルエットは将来性の高さを物語っているが、現時点では今一歩か。
Pad3star

ビッグアーサー →馬体を見る
ぶっつけで臨んでくるためふっくらとしているが、さすがの貫禄を漂わせる。
筋肉にメリハリもあって、毛艶も冴え、力を出し切れる仕上がりにある。
Pad45star

モンドキャンノ →馬体を見る
手足はスラリと伸びていて、筋肉がしっかりとついてくれば良い馬体になる。
現時点では古馬に比べると線の細さが否めず、パワー勝負では分が悪い。
Pad3star

メラグラ―ナ →馬体を見る
胴部に伸びがあって、ストライドが大きそうな馬体で小回りコースはどうか。
重心が低いため、スプリント戦がベストであり、トモにしっかりと実が入った。
Pad3star


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中山芝1200m

Nakayama1200t

スタート時点から、第1コーナーである3コーナーまでは275m、そこからもさらに100mほど直線が続く。3~4コーナーにかけて、きついカーブになっているように見えるが、中間に直線が入っているため、実はスピードをほとんど落とすことなく回ることができる、全競馬場の中で屈指の高速コーナーである。またスタート時点が坂の頂上にあるため、ゴール前の残り200mの時点までは緩やかに下りながらレースが進むことになる。そのためペースは速くなりがちで、馬場さえ良ければ、かなりの速いタイムが出ることになる。

ゴール前の直線は310mと短いが、高低差2.3mの急坂が待っているため、ハイペースで飛ばした先行馬が末脚をなくし、中団待機の差し馬に交わされるという逆転劇が起こり得る。特にG1レースにおいては、道中が速く厳しいペースになりやすいので、前に行って粘り込むためには、相当な実力が必要とされる。ただし、差し馬はあまり後ろすぎても届かないため、ある程度前に行くことのできる先行力は必要とされる。

スタートからコーナーまでの直線距離が長く、コーナーも比較的緩やかであるため、内外の枠順で基本的には差はない。しかし、あまりにも内枠すぎると、インぴったりに閉じ込められ、かえってスピードに乗れないこともある。多少の距離損があったとしても、中~外枠の方がレースはしやすい。

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スプリンターズSを当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■サマースプリントシリーズの最終戦として
1990年にG1レースに昇格し、それ以降、師走のスプリント決戦として定着していたが、2000年から秋の中山開催へと時期が変更された。この変更によって、夏に行われるサマースプリントシリーズとの結びつきが強くなった。夏競馬を使ってきた勢いを、ほとんどそのまま持ち込めるようになったということだ。そういう意味において、スプリンターズSはサマースプリントシリーズの最終戦と考えて良いだろう。

とはいえ、サマースプリントシリーズで目一杯走り切ってしまった馬は苦しい。2007年のサマースプリントチャンピオンに輝いたサンアディユがそうであったように、夏に3走もしてしまっていると、最後のスプリンターズSではガス欠を起こしてしまうことになる。また逆に、なんらかの事情があって、ここがブッツケになってしまった馬では、余程力が抜けていないとこのレースを勝つことは難しい。つまり、サマースプリントシリーズを使いつつ、スプリンターズSを最終目標に定めてきた馬を狙うべきである。

■2■基本的には差し馬が有利も
中山1200mのコースは先行馬にとって有利な形態となっているが、これだけハイペースになってしまうと、前に行けるだけのスピード馬にとっては苦しいレースになる。「短距離の差し馬」という格言もあるように、ハイペースについて行けて、なおかつ末脚もしっかりとしている差し馬が狙いとなる。

ただし、雨が降って道悪になった際は、考え方を180℃変えなければならない。平成12年のダイタクヤマトや平成16年のカルストンライトオ、平成18年のテイクオーバーターゲット、平成19年のアストンマーチャンが逃げ切ったように、道悪になると先行できる馬が圧倒的に有利になる。

スプリンターズSはパンパンの良馬場で行われても、重・不良馬場で行われても、前半の800mのタイムは実はほとんど変わらない。たとえば、平成17年に良馬場で行われたスプリンターズS(勝ち馬サイレントウィットネス)と、平成19年に不良馬場で行われたアストンマーチャンが逃げ切ったスプリンターズSのラップをご覧いただきたい。

平成17年 12.1-10.1-10.7-11.1-11.5-11.8 良馬場 
平成19年 12.0-10.3-10.8-11.1-12.0-13.2 不良馬場

これほど異なる条件下で行われた2つのスプリンターズSだが、テンの4ハロンのラップタイムはほとんど同じであることが分かる。平成17年がスローペースで流れたわけではない。どちらかというとハイペースで道中は進み、中団から進出したサイレントウィットネスが最後の急坂で差し切り、2着には最後方からデュランダルが32秒の脚で追い込んできた。パンパンの良馬場をハイペースで流れたスプリンターズSと、ドロドロの不良馬場のスプリンターズSの前半800mがほぼ同じラップなのだ。これはどういうことだろう?

これこそが雨のスプリンターズSは800mのレースであるということに他ならない。つまり、スタートしてから800mで究極のラップを刻むため、ラスト400mはどの馬もバテてしまい、レースどころの騒ぎではないということである。

また、競走馬はスタミナが切れたところを追い出されるとフォームを崩してノメるという特性があるため、4コーナー手前からはどの馬も真っ直ぐ走らせるだけで精一杯という状況にもなる。勝負は最初の800mで決まってしまうのだ。雨が降った場合は、スタートよく飛び出して、ハミをしっかりと噛みながらガンガン前に行ける馬を狙うべきである。

■3■1200m以上のスタミナ
スピード自慢の馬たちが揃うため、前半3ハロンは32秒~33秒前半というハイペースになり、さらに直線に急坂が待ち受けていることも加わって、後半3ハロンは35秒台の消耗戦となる。前半と後半で2秒以上の落差が生まれることによって、一本調子のスピード馬にとっては厳しいレースになり、このレースを勝ち切るためには1200m以上のレースを走るだけのスタミナが要求される。

■参考データとして 1、G1レース出走経験がないと× 2、前走オープン特別で敗れていた馬、または条件戦出走馬は× 3、1200m戦で連対率50%、かつ勝ち星があることが望ましい

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«ダービー馬が秋初戦は好発進しても2戦目以降が続かない理由